阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
FACTAleaks――対セラーテム戦争13 于文革への6項目質問状と悪徳雑誌呼ばわり
2010年09月28日 [leaks]
8月下旬、本誌はセラーテムが子会社化した北京誠信能環科技のオフィスを再び訪れた。また、同社の登記上の住所も確かめに行った。その顛末は10月号の「窮鼠セラーテムの『お笑い』弥縫策」をお読みいただきたいが、現地に行ってくれたのは前回のブログで触れた田原君である。
北京誠信が尋常な会社でないことは、実際に訪れればすぐにわかる。応対に出てくる社員は、何を聞いても「自分にはよくわからない」、「広報担当者が不在」と言うばかり。広報担当者の名前と連絡先を聞いても答えない。「あなたの名前と連絡先を残せば、広報担当者が連絡する」というが、実際には音沙汰なしだ。
しかし、彼らはFACTAが登記上の住所まで調べに行くとは思っていなかった。実際に行ったのは8月27日の昼間だったが、不意を突かれて大慌てしたのだろう。その日の夕方、田原君の携帯が突然鳴った。相手は北京誠心の「朗」と名乗る人物で、「話がしたいので8月30日午前11時にオフィスに来てもらいたい」と、こちらの都合も聞かずにいう。だが、田原君は翌朝の便で帰国しなければならなかった。そこで、北京在住のジャーナリストの王建鋼氏に代理を頼んだ。王氏がちょうど出張中だったため、「朗」氏に日程変更を求めると、9月2日午前10時を指定した。
ところが当日の午前9時になって、「朗」氏は一方的にキャンセルを通告してきた。その間、8月28日にこのブログの連載が始まり、8月30日には中国の週刊誌「新世紀」がセラーテムの記事を掲載した。よほどお気に召さなかったのでしょう。
広報担当者が会おうが会うまいが、FACTAは聞くべき事を聞くだけです。9月2日、北京誠信会長兼セラーテム会長の于文革に宛ててメールとFAXで6項目の質問状を送った。以下はその全文です。原文は中国語なので多少ぎこちない日本語になっている点はご容赦ください。
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北京誠信能環科技有限公司 会長
科信能環(北京)技術発展有限公司 会長
日本株式会社セラーテムテクノロジー 会長
于文革 様
こんにちは。
私どもは日本の政治経済誌「月刊FACTA」です。私どもの調査によれば、日本の上場企業であるセラーテムテクノロジーが昨年6月以降に発表した中国事業に関するIR(編集部注:投資家向け広報)には、少なからぬ矛盾や疑問があります。そこには中国系ファンドへの第三者割当増資、北京誠信の買収をめぐる操作、スマートグリッド事業の実際の状況などが含まれます。あなたは北京誠信能環、科信能環、セラーテムの3社の会長を兼務しており、全ての背景について明確にご存じのはずです。そこで下記の質問について、9月7日までに私どもの取材を直接お受けいただくか、書面でご回答ください。
1)8月中旬以前、観湖国際9階にある北京誠信のオフィスには社員が数名しかいませんでした。また、登記上の住所である豊台科技園のオフィスにも1人がいただけでした。北京誠信には実際のところ社員が何人おり、どこに出勤しているのですか? 御社は実際のオフィスの住所を隠しているのでしょうか?
2)8月30日付の中国の「新世紀」雑誌の報道によれば、セラーテムが7月16日付のIRで公表した2件の“スマートグリッド”受注に関して、北京市民政局住宅合作社および北京中弘投資有限公司はともに「プロジェクトは広い意味でのスマートシティに過ぎず、国家電網公司の要求水準には達していない」と表明しました。また、国家電網公司も、2件のプロジェクトが“スマートシティ”のモデル事業に入っていないと表明しました。この報道に関して、御社はどのように説明または反論されますか。
3)あなたと趙広隆氏の関係について詳しく説明してください。セラーテムによる北京誠信の買収は趙広隆氏の紹介で実現しており、あなたと趙広隆氏は以前から親密な関係でした。北京誠信と趙広隆氏の間には、業務上の取引、投資、雇用、顧問などの関係があったのではありませんか。
4)あなたと庄瑩氏の関係について詳しく説明してください。公開されている記録によれば、庄瑩氏は2004年に北京誠信の人力資源部長、2009年に北京誠信の副総経理の肩書きで公の場に出席しています。このことは、庄瑩氏があなたの長年の部下だったことを示しています。庄瑩氏にセラーテムに出資させたのは、何が目的だったのですか。
5)あなたと白雲峰氏の関係について詳しく説明してください。趙広隆氏と庄瑩氏によるセラーテムへの出資は白雲峰氏の紹介で実現しており、あなたと白雲峰氏は以前から親密な関係でした。あなたが白雲峰氏を科信能環のCEOに招聘したのは、何が目的ですか。
6)工商登記の記録によれば、2009年8月5日付で北京誠信の株主に変動があり、于文革氏が同社株の11.06%を取得するとともに、于文翠氏(編集部注:于文革の姉または妹とみられる)が持ち株比率を23.75%に増やしました。この取引の目的は、北京誠信に対するMBOですか。また、この取引には最低でも2000万元の資金が必要だったはずですが、あなたは資金をどうやって調達したのですか。
ご協力に感謝します。
2010年9月2日
阿部重夫
月刊FACTA発行人
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ところで8月14日には「切込隊長ブログ」が参戦している。
FACTAと同じく北京誠信のオフィスを訪れ、当時はモヌケの殻だったことを確認、やはり実体を疑っている点ではFACTAと同じ論調である。これにもセラーテムは狼狽したはずだ。株価は急落、問い合わせが殺到したはずだからだ。
Yahoo!掲示板によれば、宮永取締役は問い合わせに答えて、ブログの内容をすべて事実無根とし、弊誌を「悪徳雑誌」呼ばわりしているようだ。このメールが本物なら、「悪徳雑誌」の十分な根拠を示せなければ、本誌に対しても十分名誉毀損に値すると思いますがね。
メールが本物かどうかは、下にアドレスがあるので、関心のある方に問い合わせていただこう。宮永取締役に直に愛のお便りを。
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いつもお世話になっております。
お問い合わせいただきありがとうございます。
WEBコンタクトがIRメールではなく、Saleメールに入った関係で、貴メールへのご返信がかなり遅れてしまいました。申し訳ありませんでした。
ブログに書かれたことはすべて事実無根です。
悪徳雑誌が作った虚像ネタをそのまま流したと思われます。
昨晩開示させていただいたとおり、当社の中国子会社は通常通り業務を展開しております。
業績も極めて順調に推移しております。
今後とも引き続き宜しくお願い申し上げます。
宮永浩明 Aug.,17,2010
miyanaga@celartem.com
株式会社セラーテムテクノロジー
〒105-0021
東京都中央区日本橋本石町 3-1-2-7F
Phone 03-6820-0740
Facsimile 03-3275-0825
URL www.celartem.com
投稿者 阿部重夫 - 13:00| Permanent link | トラックバック (0)