阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
FACTAleaks――対セラーテム戦争9 再質問状
2010年09月11日 [leaks]
8月9日付ファクスでセラーテムが打ち返してきた回答は、詳細に取材していたFACTAの追及をかわそうと、懸命に反論しようとしているが、随所で矛盾をきたしていた。もはや締め切りギリギリである。間際に4項目の質問を送り、最終デッドラインまでの回答期限をつけた。
最後の段落は、ありきたりの法的措置云々の脅しに対するカウンターパンチである。この手の脅しに弱い新聞やテレビとFACTAは違う。過去にも徹底報道の結果、当局が動いて立件にいたった事例がいくつもある。
このブログでおいおい明かしていくが、本件は捜査当局および関係当局も取材対象にしているので、当然、お上も周知の事件になっている。立件される見通しになれば、その時に報じよう。
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セラーテムテクノロジー
代表取締役社長
池田 修 様
弊誌質問状への回答書をお送りいただき、ありがとうございました。なお、回答期限について8月6日と記載していたのは弊誌のタイプミスであり、この点に関しては失礼をお詫びします。
さて、回答書を拝読しましたが、下記の点について改めて確認させていただきたく存じます。ご回答をよろしくお願いします。
1) 庄瑩氏について
「庄瑩氏は北京誠心能環の副総経理ではなく、于文革氏の長年の部下でない」と回答されましたが、本当ですか。
A) 庄瑩氏は2009年6月に東京地裁に提出した陳述書において「2002年に北京華電恒盛電力技術公司に入社し、副総裁に就任した」としています。北京市工商行政管理局の企業登記情報によれば、北京華電恒盛電力技術公司の法定代表者は于文革氏です。于文革氏と庄瑩氏は、上司と部下の関係ではなかったのですか。
B) 中国農業大学のウェブサイトには、2006年4月の学内ニュースとして同大学電信学院と北京誠心能環の技術提携が報じられており、于文革氏、王暉氏、庄瑩氏の名前がそれぞれ総経理、副総経理、人力資源部経理として記載され、3人の写真も出ています。これは事実ではないのですか。
C) 2009年6月に開催された「2009北京国際節能環保高層フォーラム」の共催者のウェブサイトには、庄瑩氏が北京誠信能環副総経理の肩書きで同フォーラムでスピーチしたことが記載され、写真も出ています。これは事実ではないのですか。
2) 北京誠信能環の事業について
「北京誠信能環は、電力関連企業ではなく、IT技術を使った省エネコンサルティングサービス会社です」と回答されましたが、過去のIRや先週の決算説明会での説明と矛盾しています。
A) 2009年11月13日付の「北京誠信能環科技有限公司子会社化に関するお知らせ」の6ページの「北京誠信子会社化のスキーム」において、御社は「北京誠信はIT、省エネを主業務とした会社であり、免許などの外資規制で当社が直接買収する事ができず、他社事例で多く採用されている契約支配型ストラクチャーを採用いたします」と説明しています。また、先週の決算説明会で池田社長は「本来は直接出資するのが望ましいが、ライセンスの関係で契約支配の形態をとった」と説明しました。北京誠信の事業が外資参入規制分野に当たらないとの回答は、これらの説明と矛盾していませんか。
B) 今年7月16日付の「連結子会社のスマートグリッドプロジェクト(2件)受注に関するお知らせ」によれば、北京誠信が北京市内における「地域内スマートグリッド建設」に関する契約を締結したとしています。中国商務省の外商投資指導目録には、「電力網の建設、運営」は投資を制限する産業として明示されています。北京誠信は建設ではなく省エネコンサルを受注したのですか。また、8月6日付のIRで「電気自動車充電ステーションの建設事業を開始」と発表しましたが、これもコンサルとしての参入なのですか。
C) 今年3月26日付の「連結子会社の新規事業の開始に関するお知らせ」によれば、100%外資である「科信能環(北京)科技」がスマートグリッド事業を開始するとしています。IRの文章を読むと、常識的にはスマートグリッド設計、建設、運営等を手がけるものと受け取れますが、これは外資規制の対象項目ではないのですか。また、先週の決算説明会の後、池田社長は「科信能環は外資なのでライセンスが取れるかどうかわからない」と説明しました。外資の参入が制限され、発表から4カ月が過ぎてもライセンスが取れるかどうかも分からない事業についてIRを発表したのは、投資家をミスリードする行為ではありませんか。
また、追加で以下の2点についてもご回答をお願いします。
3)笠井浩一会計士の連絡先について
先週の決算発表会で、池田社長はパシフィック監査法人の笠井浩一会計士の連絡先を教えてくださると約束しました。笠井氏の連絡先をお知らせください。
4)白雲峰氏について
チャイナ・ボーチー前CEOの白雲峰氏が、科信能環(北京)科技の役員に就任したのは事実ですか。肩書きは総経理ですか。
以上の4点について、締め切りの都合もありますので、ご多忙中恐縮ですが、8月12日までにご回答ください。
なお、法的措置云々の件については、同じような警告を日本振興銀行、木村剛前会長からも受けました。結果がどうなったかはご存じの通りです。本件についても日中両国の当局を含めて、取材には万全を尽くす所存です。そのためにも、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2010年8月10日
月刊FACTA発行人
阿部 重夫
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)