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阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

FACTAleaks――対セラーテム戦争6  お笑い決算会見(下)

2010年09月06日 [leaks]

8月6日のセラーテム決算説明会のQ&Aの続きである。

セラーテムの中国プロフィットセンター、北京誠信に実体があるのかと問い詰められて、池田社長も宮永取締役も色をなした。やはり、北京を取材したいと言われて取材拒否したのは、行かれては困る理由があるからだろう。彼らはFACTAがすでに現地を取材していることを知らなかったのだ。まさか中国まで見に行くことはあるまいと高をくくっていたのだろう。甘い甘い。

*   *   *   *   *

セラーテム宮永取締役 この件については関東財務局とも協議して、とくに問題が指摘されていなかったのですけれども。

FACTA それは要するに、中国(企業)と提携してこういう複雑なスキームをつくって、関東財務局がよくわからなかったからではないですか。

セラーテム宮永取締役 弊社の中国の(子会社の)ほうに行っていただいて、会社が実在しているかどうかを含めて、(ビジネスを)実施しているのかということですが、当然、弊社のほうも監査法人も入って監査もしています。ご質問の意図の、要は、本当はやっていないのにやっているのではないかと言う意図がよくわからないのですが、我々のほうの会社で実際にやったことを実施しているということは事実です。

FACTA 詳しく申し上げると、セラーテムのホームページにも載っている北京誠信の電話番号に何度かけても電話が通じない。まずそれで北京誠信のホームページに載っている住所のオフィスに行きました。

そちらにちゃんと北京誠信という会社の看板はあったのですが、人は数人しかいませんでした。さらに「日本企業の傘下に入った会社ですか?」と聞いたら、知らないと言われました。これはどういういうことかということですね。

セラーテム宮永取締役 弊社のホームページのほうですか。

FACTA そうです。

セラーテム池田社長 すべて誤解ですという以外は当然ないのですが、ちょっと電話番号の記載事項うんぬんに関しては、弊社の日本語のホームページ?

FACTA 日本語のホームページから北京誠信のホームページに飛びます。

セラーテム池田社長 飛んだ、その日本語ですか。

FACTA 日本語ではありません。中国語です。

セラーテム池田社長 中国語ですか。それに関しては再度、私も含めて調査をします。

注)決算会見から10日後の8月16日、セラーテムは「当社中国連結子会社である北京誠信能環科技有限公司の現状に関するお知らせ」という写真付きのIRを出した。アナリストの眼前で本誌に「北京誠信に実体はあるのか」と指摘され、週明けとともに株価が急落したので大あわてしたのだ。ほぼ同時に、北京誠信の代表電話がつながるようになった。そこで再び北京のオフィスに行ってみると案の定、10日前はひっそりしていたオフィスに人が出入りしている。これがほんとの“一夜漬け”。

このお笑い弥縫策の続きは、9月20日発売のFACTA10月号をお楽しみに。

セラーテム池田社長 会社が当然、実在しているかどうかということに関しては、監査法人を通らないので。これだけの規模の会社でですね、会社が例えばなかったとかいう場合、通らないので。

FACTA (セラーテムの監査法人の)パシフィック監査法人というのはどこにあるんですか。

セラーテム池田社長 赤坂にあります。

FACTA ぼくらには住所がはっきりわからないのですが。

セラーテム池田社長 もともと隆盛(監査法人)様というところで、いわゆる一ツ木通りの、そちらに住所があります。

FACTA あとで住所を教えてくれますか。

セラーテム池田社長 はい、わかりました。

注) 会見から数日後、パシフィック監査法人の電話番号を告げられたので電話した。笠井浩一会計士によると、事務所も代表電話もあるが、それは規定上の要件を満たすため。オフィスに常駐のスタッフはおらず、電話も秘書代行サービスを使っていると白状した。やはり幽霊である。

さらに、セラーテム以外に監査を担当する上場企業がないこと、中国企業の監査経験がほとんどないこと(昔中国の会計士と共同作業したことがあると言い張っていたが)も確認した。

笠井会計士は隆盛監査法人に所属していた。隆盛は「ネクストジャパンホールディングス」「セブンシーズホールディングス」「ヤマノホールディングス」「堀田丸正」など、その筋の人にはハハンと分かる“世評の高い”企業ばかり監査を担当していた。セラーテムもほんとにご立派な監査人をつけていらっしゃる。

ここで他の質問者に移る。新年度の売り上げ目標など定型の質問だった。

司会 そのほかにご質問等はありますか。

他の質問者 基本的なことを確認したいのですが、新年度の売上目標があると思うのですが、ITと省エネを分けたうち、どのようになっているのか。それをまず確認をしたい。同じようにして、もしよければ営業利益段階でどのようにセグメント的に分かれるのかどうか。

今の話と若干からむのですが、科信さんと誠信さん、親会社というようなかたちになっていると思いますが、ここの役割分担というのが正直言うとなかなかよくわからなくて、事業も分けるというようなかたち、確か最初のころのリリースを見ると、事業も分けるようなかたちになっていたと思うのですが、親会社の売上など、あまり現状で出ていないような気がするので、どのようになっているのか。若干、複雑なんですよね。

セラーテム池田社長 親会社とおっしゃられているのは、セラーテムの日本……。

他の質問者 科信。

セラーテム池田社長 ああ、科信能環。

他の質問者 科信と北京の関係だとか。事業のくくりだとか、いちおう分けるというかたちに確か説明はなっていたと思うんですけれども。

セラーテム池田社長 まず、買収した段階においては科信能環は機能としては何もないというなかで、今回、リリースしたときに科信能環のほうで先ほどの火力発電所のプロジェクトに関してやっていこうということで、とくに火力発電所に関してはプロジェクトの規模が若干大きくなるということ。それから、ビジネスの内容的にもしかすると契約形態として単純に受注をするというやり方と、我々としてお客様と一緒に投資をして、将来的にその投資からの収益を持って来るという、ちょっとキャッシュフロー的には先に持ち出しが多くなるような商売も可能性としてはあり得るような商売をそちらの科信能環でやっていく。

北京誠信は、もともと従来の商売と今回、発表させていただいている新規のものをやっていくというようなかたちで、振り分けをする。科信能環はもともとは従業員もまだまだ全然、小さく、実際に火力発電所向けのビジネスをやるという段階で人を増やしていく。北京誠信との間で人事交流というのは当然ながらありますが、まだまだ人数はほとんどのものは北京誠信の人数になっております。科信能環は今、20名前後ということでこれから新規にやっていくという段階です。

司会 すみません、ちょっとお時間の関係がありまして。

他の質問者 はい、もう一つ質問していると思うんですけれど。
 
セラーテム池田社長 すみません、もう一つの質問のほうは。
 
他の質問者 要するに新年度の目標の内訳を。

セラーテム池田社長 ああ、そうですね。内訳に関しましては開示をしないような状況でして、当然ながらこの新規事業のほうの出来次第というところもありますし、現段階で明確にご回答することができないので、ご了承いただければと思います。

司会 お時間の関係がありまして、本日はここまでとさせていただきたいと思います。本日はご出席いただきましてありがとうございました。

注) 司会は大証ジャスダック本部上場サポートグループ(宮川やすし調査役)だった。読めばお分かりのとおり、これ以上の追及を封じようと、途中で打ち切りにしたのだ。取引所が投資家保護よりも上場企業を守ろうとして、当然の質問すらさせない体質であることがよくわかった。こういうゴキブリは株式市場から追放すべきだろう。

(大証が独占してきた日経平均先物が、東証のCFD=差金決済取引=方式の株価指数先物で風穴をあけられる事態になっても、米田道生社長が日経にアクセスできずに焦っているのは、こういう愚かなスタッフを抱えているからなのだ。)

FACTAはQ&A後に、池田社長に直接追加質問をぶつけた。

FACTA 北京誠信はもともとライセンスを持っていた中国企業だが、科信能環は新規設立の100%外資企業ですよね。スマートグリッドの事業ライセンスを取れるんですか。

セラーテム池田社長 科信能環についてはライセンスが取れるかどうかまだわかりません。

注) またもオウンゴール。彼らはライセンスがとれるかどうかも分からないのに、堂々と新規事業開始のリリースを流していたのだ。あいた口がふさがらない。

もうひとつ、収穫があった。宮永取締役と名刺を交換した際、その名刺入れの中に、チャイナ・ボーチーの名刺もあったことだ。両社が一体であることの証明だが、「それってチャイナ・ボーチーの名刺ですよね」と指摘すると、あわてて隠していた。笑える人たちだ。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)



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発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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