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阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

FACTAleaks――対セラーテム戦争4  お笑い決算会見(上)

2010年09月02日 [leaks]

セラーテムの4~6月期決算の発表と会見は、8月6日に東京の茅場町の日本証券会館1階、大証インベスターコンファレンス会場で行われた。本来、セラーテムは大証ヘラクレス上場企業だけに大阪で発表するかと思ったが、東京で行われることになったのだ。

飛んで火にいる……とはこのことだろう。

腕を撫して待つFACTAは一番前の正面の席を占めた。会見には池田修社長(写真)と、CFOの宮永取締役が出席した。池田社長が1時間近く、業績の説明(というよりはパワーポイントのポンチ絵を映しながら、ウェブフォントサービスなど画像ソフト事業の説明)を延々と続け、肝心の中国省エネ事業については「省エネに関する総合ソリューション」「省エネITコンサル事業」などと銘打って、えらく抽象的なお題目ばかりを並べたてた。ご本人がまるで分かっていないらしく、ほとんど口パクとしか聞こえない。

それからQ&Aに移って、FACTAの追及場面になる。同席していたアナリストも目をむくような質問の連続(われわれを証券監視委員会の人間かと思ったらしい。まさかね)に、池田社長はあたふたするばかり。いきなり馬脚を現わしたのには苦笑してしまった。彼らが公開した動画でQ&Aをオミットしたのは、少しは恥を知っているということか。

退屈な社長の独演はすべて飛ばし、Q&Aだけとりあげよう。

*   *   *   *   *

FACTA 決算発表を聞かせていただきまして、今期の売上34億のうち、中国での売上が17億、ほぼ半分ですね。セグメント情報のアジアのところが事実上、中国の北京誠信の売上と利益というように考えていいと思うのです。

セラーテム池田社長 ほぼそうですね。まあ、全額ではないですが。

FACTA はい。ほぼそういう理解でよろしいですよね。4億1500万ぐらいの利益が出ていると。

セラーテム池田社長 はい。

FACTA ちょっとここで伺いたいのが昨年、子会社化を発表をされたときでは、2008年12月期の段階で北京誠信の売上21億、当期利益は5億2000万と出ているので、それより減っているのですけれども、これはどういうことか理由をお聞かせください。

注) 実はこれは北京誠信の業績の信憑性を試す引っかけ質問だった。北京誠信を買収したのは昨年末なので、今期連結決算には半期分しか組み入れられていない。だが、半期分の数字をわざと通期の数字として言い、池田社長がそれに気づくかとうか試した。案の定、池田社長は「それは半期の数字です」と指摘できず、業績の数字がいかにデタラメかを暴露してしまった。彼らのオウンゴールを招いた点で、こちらはほくそ笑むばかりだった。

FACTA もう一つはこちらはスマートグリッド等の事業は中国においては基本的に外資の参入が制限されている業務であるはずです。とくに建設・運営というところはもう明確に制限されているところだと私は理解しているのですけれども、ここについて御社は100%の外資でありながら事業参入し、今後も拡大されるということについては、どういう仕組みでやっておられるのか。リスクはないのかということについて教えていただきたいのですが。以上2点、お願いします。

セラーテム池田社長 2番目の質問で、リスクがないのかというのは、どういった面の?

FACTA 要するに中国政府の規制上は外資の参入が規制されているところですよね。

セラーテム池田社長 外資であることでリスクはないのかという(ことですか)?

FACTA 外資であるにも関わらず、なぜここに参入できるのかというのが一つよくわからないのと、参入しているとしたらどういうロジックで参入されているのか、そこについてです。例えば中国のほうで規制が変わるとか等によるリスクというのはないのかというのが質問の趣旨です。

セラーテム池田社長 では、まず1点目の2008年度から売上が減っているのではないかということですが、例えば2009年は最初の6か月は大きな赤字であります。これは我々のアメリカの政府向けの事業もそうなのですが、政府の予算に大きく左右される商売であることは明白で、いきなり政府予算が使われなくなってしまうと、受注がないというような状況は当然あり得る話です。ですから、そういった面で、例えば2008年度に関してはある程度の予算の取り込みはできて、2009年度に大きく落ち込んで、現在、我々としてはそれを踏まえて新しい事業を取って行こうということで、回復するべく全力を挙げています。

FACTA ということは、現時点で中国の北京誠信の事業は伸びているのですか。

セラーテム池田社長 結果として、例えば前年比では、前年の2009年1月から6月は赤字でしたので、伸びていますね。2009年はたぶん、どこの会社様も最低の年だったと思います。そういう意味ではどこでも伸びていると言えば、伸びているところではありますが。結果としては伸びています。

注) ここがオウンゴール。池田社長は北京誠信が最初は赤字だったことを暴露してしまった。

セラーテムは09年8月10日、北京誠信との「戦略的パートナー関係提携」をリリース。そこでは「北京誠信は、中国国内においてソフトウェア開発、IT技術及びソフトウェアを駆使した省エネコンサルティング、サービスの提供を多数の官公庁機関に提供しており、中国の環境政策における重要な役割を担っております。中国の環境関連市場は、近年最も注目されている市場であり、多数の参入企業がある中、同社の技術力の高さが認められ、近年市場シェアの拡大に成功しております」と書いてあるが、赤字であるとは一言も書いていない。

さらに11月13日、北京誠信を子会社化すると発表しているが、ここでも同社の紹介はほぼ同文。子会社化のメリットとして「(米国と並ぶ)二大プロフィットセンターの早期確立」などを掲げているが、そこでも「北京誠信の既存事業である省エネ環境関連事業からの収益により、中国市場参入に関する当社の基本方針のとおり、平成22年6月期の黒字化を確保しつつ、次年度以降の成長基盤を確立し、中国市場参入に関するリスクと時間を大幅に短縮することができます」とあって、少なくとも半期は赤字の会社を子会社化することとプロフィットセンター化の矛盾について一言も触れていない。

セラーテム池田社長 それから外資としてどうかということですが、こちらのほうは我々の買収の形態というのが、例えばジョイベンをつくるとか、買収を実際しているというような形式ではなく、契約的な買収というかたちを取っています。買収のときに詳しいところはご説明していますが、北京誠信自体が外資ということではなく中国の会社ということで、例えばもともとそういったかたちでスマートグリッドだけではなく、免許というものが当然、ビジネスをやっていくうえで必要です。そういったものもまだ現在でも持ってやっているので、外資というよりは中国の会社というかたちでやっているので、その面に関しては大きなリスクはないかと思います。

注) シドロモドロ。何を言っているのかよく分からない。池田社長は中国商務省の外商投資指導目録のことなど何も知らないのだ。社長がカイライであることがよくわかるくだり。

FACTA ただ、契約支配型ストラクチャーで海外に上場するというケースはよくあって、その場合、事業リスクの項目のところに普通はそのリスクを開示するのが常識だと思うのですが、御社については全く開示されていないのはどういう理由があるのでしょうか。

セラーテム宮永取締役 開示しています。

セラーテム池田社長 開示していると……。

注) あまりのシドロモドロにたまりかねて、脇からCFOの宮永取締役が一声。これで誰が主役で、誰が操り人形か明らかになった。

FACTA 開示されていますか。事業リスクの項目にはないですけれども。

セラーテム池田社長 どこですか。

セラーテム宮永取締役 プレスリリースの面においては開示しております。昨年度の11月13日のプレスリリースにその仕組みについて詳細を開示しています。

FACTA 有価証券報告書には開示していないですよね。リスクのところには書かれていないですね。

セラーテム宮永取締役 有価証券報告書には開示しています。EDINETに登録されているのでご参照ください。

FACTA 事業リスクの項目のところには入っていなかったと思うのですが。

セラーテム宮永取締役 その他の範ちゅうです。

*   *   *   *   *

以下しばらく他の質問者に移ったので、次の回に。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)



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発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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