阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
FACTAleaks――対セラーテム戦争1 宣戦予告
2010年08月28日 [leaks]
内部告発サイト「ウィキリークス」が、アフガニスタンの駐留米軍機密文書7万5000点を暴露した後も、創設者のオーストラリア人元ハッカー、ジュリアン・アサンジュと米政府機関の神経戦が続いている。
アサンジュに対し、スウェーデン政府から婦女暴行容疑で逮捕状が出たとの報道直後、逮捕状が撤回され、アサンジュが「謀略」と反発したのに対し、被害者(?)の女性がペンタゴンやCIAの関与など「ナンセンス」とCNNに語ったそうだ。なんだか「藪の中」みたいだが、25日にはウィキリークスがCIAの「諸外国が米国を“テロ輸出国”とみなしたらどなるか」という3ページの内部文書(機密度は低い)を公開した。
正直言って、この衝撃度は低い。しかしアサンジュ対ゲーツ(国防長官)、パネッタ(CIA長官)の闘いは「オープン・インターネット」というイリュージョンを限界まで試す展開になりそうだ。
さて、本誌最新号(8月20日号)の編集後記で書いたように、「ウィキリークス」に倣って「FACTAリークス」を少し実験してみましょうか。編集後記にはこう書いた。
これは調査報道ジャーナリスムと呼ぶべきだろうか。アフガニスタン駐留米軍の機密文書7万5千点をインターネットで暴露した内部告発サイト「ウィキリークス」に対し、「新味に乏しい情報が吟味されないまま垂れ流されたことに加え、兵士や国民の声明が危険にさらされかねない」との怒りが沸騰していると、産経新聞ワシントン特派員が伝えた。
▼アホか。現地紙を転電するだけの「ヨコタテ特派員」にこんなことを言われたくない。この記事自体、米国政府の弁解や非難声明の寄せ集めだ。恥ずかしくないの? そりゃあ、孫引き記者は人畜無害の記事しか書けないだろうさ。スクープとは本来、危険な匂いに満ちているものだ。ゲーツ国防長官はFBIに捜査を依頼したというが、所詮は情報管理のドジを棚に上げた話だろう。
▼機密文書の中身はまさに素材であって、整序されたインテリジェンスではない。吟味は読む側に託されている。少なくとも私には、戦場の息苦しさ、果てしないアフガンの泥沼が体感できる出色のドキュメントだった。「ウィキリークス」主宰者のオーストラリア人元ハッカー(39)がいかなる人物かは知らない。グアンタナモ収容所マニュアルや、クライメートゲートの発端となった英国の大学メールの暴露で、愚劣なネオコンやエコ規制論者を黙らせた功績は大きかった。秘密を暴かれた側の泣き言など、耳を貸すに値しない。
▼と考えていたら、イラク侵攻時に従軍報道を認める「エンベッド(埋め込み)取材」を導入したペンタゴンの元報道官ビクトリア・クラーク(51)が「できるだけ多くの情報を発信して自分たちのゴールを達成する」と語る記事に遭遇した(朝日新聞「人・脈・記」)。情報洪水でメディアを支配するという魂胆か、やっぱりね。では、対抗して「FACTAリークス」でも始めますか。 (A)
有言実行ですからね。そこで、最新号のスクープ、「『中国のハイエナ』が大証裏口上場」である。決算発表会見で「スマートグリッドを受注した北京の提携先に実体があるのか」と池田修社長を問い詰めた8月6日以来、株価は3割安となっている。本誌の指摘を否定するリリースをウェブに流し、写真まで載せて実体を証明しようと躍起だが、本誌はその付け焼き刃とお笑い弥縫策を暴く所存だから、今から予告しておきましょう。
決算説明会には大勢、証券会社のアナリストも来ていたのだから、北京の出先に調べさせればすぐ分かることだ。しかし、どうも中国株をあれだけ売り込んでいる癖にその労を惜しんでいるらしい。しようがないから、「FACTAリークス」で、これまでのセラーテムとのやりとり(最初は取材拒否、ついで大あわての反論)を逐一公開しましょう。FACTAがどういう詰め将棋をするか、読者の方に少しでもご覧頂ければ幸いである。
もうひとつ、企業説明会の模様はセラーテムが画像に撮っていて(画像ソフトの会社だもの)、ウェブで公開しているのだが、FACTAに追及されたQ&A部分はみごとに割愛。こういうのはディスクローズとは言わない。どうも、FACTAを仕手筋かなんかと勘違いしているらしいが、報道機関として彼らが隠したQ&A部分をすべて公開しましょう。
そのうえで個人投資家の方も、この企業の正体を判断してください。場合によっては、警察の外事に踏み込まれるかもしれない“貴重な”事例かもしれませんから。
では、次から乞うご期待!
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)