BLACKCASというカードをご存知でしょうか？

BLACKCASとはB-CASカードを改造したもので、これを地デジのテレビやレコーダーのB-CASカードと差し替えれば、89チャンネルのBS + 地デジ難視対策 + CS110度(スカパー！e2)全てのチャンネルが見れるようになるカードのことです。このカードを作った業者はどうやらB-CASの暗号化のアルゴリズムを解読した上で改造を行なっている様子で、BLACKCASのカードの各チャンネルの有効期間が2038年になっているようです。

このカード朝日新聞、読売新聞にも取り上げられ、ついに総務大臣も記者会見でコメントしました。
朝日新聞　海賊版カードで有料ＴＶ見放題　暗号解読か、総務省調査

読売新聞　有料放送を見放題の不正カードが流通

総務大臣　3月6日の会見
問：大臣、すみません。衛星放送で、海賊版のB−CASカードというのが出回ったという報道がありましてですね、これについて、現在、総務省の対応とですね、把握されている状況を教えてください。
答：いわゆる海賊版B−CASカードが、これ、一般の方からの申告で、そういうものがあるということを、正直言って、認識をいたしております。そういうことで、まずは、これは許し難いことでありますので、放送コンテンツの保護ということから、我々はしっかりこれを防がなければいけないということで、まず、現時点においては、詳細な状況把握に努めているというのが、現段階であります。

ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズとWOWOW、スター・チャンネル、スカパーJSATは共同で対策に乗り出すようです。

「全力で対処」、海賊版カードに対し有料放送4社

しかし法的手段での対処はおそらく難しいのではないでしょうか。
BLACKCASを作って販売している業者は不正競争防止法の「技術的制限手段回避装置提供行為」にあたりそうなのですが、このカードを作っている業者は台湾なので日本の当局はおそらく何もできないでしょう。このカードの購入者はというと、そもそも電波を受信して復号化すること自体は原則自由であり、有料の衛星放送を事業者に無断で視聴することを特別に規制する法律などはないので、罪に問えないと思います。

技術的にBLACKCASを使用不可にするという対処法も難しいと思います。
まるもさんが衛星放送事業者やB-CAS社にできる技術的対処法について検討されています。詳細は省きますが、簡単にできる方法ではBLACKCASを作っている業者に簡単に対策されてしまい、B-CASカードの総入れ替えのような事をすれば確実に対処できそうですが、この方法にはとても費用がかかりそうです。

さて総務省、B-CAS社、衛星放送事業者がどのような対策を講じるのか見物です。

ところで私はBLACKCASに勝手に期待しています。

そもそもB-CASカードは池田先生が仰る通り独占禁止法の疑いがあります。またBLACKCASで視聴可能になる地デジ難視対策衛星放送は無料放送にも関わらず、地方TV局の電波利権を守るためスクランブルがかけられています。私はこの地デジ難視対策衛星放送のスクランブルこそ電波利権を最も象徴するものだと思っています。

このようなB-CAS利権や電波利権に宣戦布告をしたBLACKCASを私は陰ながら応援したいと思います。（49,800円もするので私は買いませんが）それにとても在庫薄でなかなか入手しにくい状況です。もっと大量生産して欲しいと思います。

BLACKCASの業者はこれからもB-CAS利権や電波利権と戦い続けるため「自分たちが当局に摘発されることがあれば、仲間がB-CASカードのアルゴリズムをネット上に公開して誰でもBLACKCASが作れるようにするぞ！」ということを宣言されてはどうでしょうか。

堀江貴文さんがよく言われるように政治なんかよりテクノロジーのほうがはるかに世の中を変える力を持っています。せっかく政権交代したのにB-CAS利権も電波利権も変えられなかった民主党ではなく、BLACKCASに期待したいと思います。

平成の龍馬（多田光宏）
blog　http://heisei-no-ryouma.ldblog.jp
twitter　http://twitter.com/heisei_no_ryoum