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避難区域での死因 学会が調査

3月6日 4時30分

避難区域での死因 学会が調査
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で設定された避難区域内で、自宅などに取り残されたまま餓死するなどした人が複数いたことが明らかになった問題で、遺体の死因を調べる医師などでつくる日本法医学会は、被災地での死因の究明に問題がなかったのか調査に乗り出しました。

この問題は、去年の震災で、津波やがれきに巻き込まれて死亡した人以外にも、原発周辺の避難区域内で自力では逃げることができず、食事や水をとれないまま餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いたほか、津波によって「溺死」と判断された人の中にも一定期間生存し、その後、衰弱するなどして別の死因で亡くなった人も含まれている可能性があると指摘されているものです。
こうした問題を受けて日本法医学会は、被災地での死因の究明に問題がなかったのか、調査に乗り出しました。
調査では遺体を調べた医師らを対象に、溺死と判断した遺体の中に解剖などしてさらに詳しい死因を調べる必要があったケースがなかったかどうかや、死因の究明に当たる医師の体制面での課題などについてアンケートや聞き取りを行っているということです。
学会は今月をめどに調査結果をまとめ、災害現場での今後の死因究明の在り方について検討していきたいとしています。

福島県内の津波被害の現場で見つかった遺体の死因を調べた、日本法医学会に所属する千葉大学大学院の岩瀬博太郎教授は「正確に死因が究明できているかというと、当然、問題は残っている。災害時、遺体を調べる際にどのような検査をするのか、どのような状態だったら解剖まですべきなのかということを含め、法医学会として今後、死因の究明の在り方を検討していきたい」と話しています。