12年度税制改正法案:自公が賛成の方針 月内に成立へ
自民・公明両党は7日、12年度税制改正法案に賛成する方針を決め、同法案は月内に成立する見通しとなった。エコカー減税の3年間延長や地球温暖化対策税(環境税)の創設などが柱。与野党の対立で未成立の状態が続き混乱した11年度改正法案の「二の舞い」を避けるため、議論が難航しそうな税制改正をあらかじめ除外した。そのため、法人税減税や相続税増税などを盛り込んだ11年度改正に比べて小粒な内容だ。
環境税は現行の石油石炭税の税率を引き上げ、2623億円(平年度ベース)の増税を実施、省エネ技術の開発などの温暖化対策に充てる。エコカー減税は現行制度より環境基準を厳しくし、対象車を絞る。このほか、自動車重量税を1500億円分減税(新車登録後13年以下の車の場合0.5トンあたり年900円減額)する。
家庭向けでは、住宅購入時に親などから資金援助を受けた際の贈与税非課税枠を1000万円から1500万円に拡充したり、省エネ住宅向けの住宅ローン減税の拡充も盛り込んだ。一方、年収1500万円超を対象に、所得税の給与所得控除に245万円の上限を設け、増税とする。
これらの税制改正を完全実施すれば、差し引き3030億円の増税となるが、段階的に実施するものもあり、12年度は177億円の増税にとどまる。
昨年の通常国会では、11年度改正に自公が反対。年度末に期限切れとなる税制をひとまず3カ月延長する「つなぎ法」で対応するなど混乱。その後も主要な改正案の決着が秋までもつれ込み、多くは未成立となったため、「企業活動や国民生活の混乱を招きかねない」と、与野党が批判を浴びた。このため、政府・与党は、11年度に未成立となった環境税創設や給与所得控除の縮小を再び盛り込む一方、自公の反発が強い成年扶養控除の見直しと相続税増税は見送り、野党に理解を求めた。自民内では環境税への慎重論が強いものの、「成立が遅れれば、野党も批判を受ける。内容はほとんど政府・『野党』案だ」(自民税調幹部)と矛を収めた。【小倉祥徳】