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大規模災害に火葬場が期待されること
一般社団法人火葬研会長 八木澤 壯一
2011年3月11日に発生した東日本大震災、10月13日現在、警察庁のまとめでは死者1万5,823人、行方不明者3,884人です。東日本大震災復興対策本部の10月6日現在で避難者は7万1,578人を数えます。こと火葬場と火葬に関しても大きな影響を受けました。誤った情報から遺体の処理に仮埋葬が選択されることがおこりました。厚生労働省の通達は、阪神淡路の震災の時も出ておりました。当時は関西の火葬場の協力で仮埋葬は行われませんでした。
東日本大震災では、仮埋葬が営まれたのは宮城県だけで、6市町。合計2,108人で、石巻市 993人、気仙沼市 228人、東松島市 369人、亘理町
123人、山元町 154人、女川町 241人と報じられています。3町は6月末までに、石巻市も8月中旬に改葬を終えた。気仙沼市は11月に終了する見込みといわれています。
□ 仮埋葬は適正だったか
この仮埋葬の判断が適切であったかが疑問に感じます。一般には現有の火葬場が故障しているか、燃焼の材料の供給がストップしていることから、火葬が実行できないとの情報が流されていたようです。しかし、岩手県、福島県では仮埋葬はありませんでした。
名取市斎場の津波による被災とその復旧について、火葬研の23年度の総会で管理を委託されている宮本工業所から報告を受けました。たまたま当日が友引で保守管理に入っておられました。津波の襲来で屋上に避難し難を逃れたが、1階は完全に水浸し、機能は崩壊しました。市の依頼に対し、3月14日に現地調査が行われました。ほとんどが現状では使用不可能との調査結果に対して、今後、死者・行方不明者が1,000人を超える予想がでており、1炉でも火葬炉を稼働させたい旨、懇願された。急きょ作成された復旧計画書に基づき、21日には復旧工事に着手した。全国から予備バーナーユニットを集め、火葬炉の清掃と空焚きを行い、火葬再開に懸命な努力がなされました。その結果、名取市では仮埋葬はしませんでした。
仮埋葬は、2年間の予定で実施されたのですが、遺族の希望ですぐに改葬による火葬が求められました。その実務は、日本埋葬文化学会で報告されたように、仙台のすがわら葬儀社が中心となって行われました。その実態には多くの問題があったように聞いています。
□ 火葬場に期待されるもの
これまで大規模の災害に対する火葬場の整備の目標が講じられてきました。この東日本大震災では多くの問題を投げかけました。特に、火葬場被災状況、稼働可能に対する情報と環境整備に課題を残したと考えられます。非常時における対策を施設、火葬炉の水準はもとより、その運営についても十分な備えが重要であるはずです。
人を弔うことが、葬儀の小規模化、「家族葬」や「直葬」の多さに見るように、火葬場での別れがますます重視されていくと考えられます。その願いに応じられる火葬場造り、運営が求められると感じています。
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