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  反逆の大東亜 作者:零戦
第五話





 それから時刻は午後七時。

 俺は東京のとある料亭にいた。

「ほぅ、君が未来から来た日本人か……。私は吉田茂だ」

 葉巻を吸っていて眼鏡をかけた英国紳士風の人―――吉田茂が言う。

「どうも初めまして。姫神三笠です」

 俺と吉田さんは握手をする。

「しかし、君が未来から来た日本人だと言う証拠はあるのかね?」

 吉田さんの隣にいた岸信介が言う。

「分かりました。お見せしましょう」

 俺はそう言って、ポケットからソーラー発電付きの携帯を出して二人の写真を撮って二人に見せた。

「ほぅ、白黒じゃないな」

「うむ、今の技術では到底不可能だろうな」

 二人が頷く。

「これでお認めになりますか?」

「分かった。君が未来から来た日本人と認めよう」

 吉田さんの言葉に岸信介も頷く。

「それではそろそろ始めるか」

 吉田大臣の言葉に俺はいそいそと決められた席に座る。

「まずは皆様方、お忙しい中お集まり下さりありがとうございます。今回、お集まりしたのは日本の未来を変えるためです」

 司会役として吉田大臣が指揮っている。

「開戦まで後一年と僅か。軍備の増強は勿論ですが、アメリカとの戦争は避けたいと私は思います」

「しかし、アメリカは戦争をしたいのだろう?避ける事は無理ではないか?」

 吉田大臣の言葉に杉山が言う。

「……確かに今のアメリカを見ていたら日本を戦争の道へ誘い込む気はかなりある。……姫神君は何か手立てはあるかね?」

 山本長官が俺に尋ねてくる。

「………今は軍備増強のためのカネが必要だと思います。あくまで自分の考えですが」

「ふむ、その根拠は何かね?」

 東條さんが言う。

「日本の精密工作機械はアメリカから輸入されていますが、これはアメリカで古くなった物を貰っているのに過ぎません。それで同盟強化の一環としてドイツから精密工作機械を輸入するのが良いと思います。それを買うカネはフィンランドに武器を売却すればいいと思います」

「フィンランドにかね?」

 此処で白州が口を開いた。

「はい、フィンランドはソ連と継続戦争をしています。武器は大量にいると思うので、フィンランドに陸海軍の中古武器を低価格で売却したらいいと自分はそう考えます」

「ふむ。それは中々いいな」

 東條さんが頷く。

「それと、朝鮮から軍を撤退して独立させてはどうですか?」

「朝鮮をかね?」

 杉山が言う。

「正直、朝鮮にインフラやカネをかける必要はありませんよ。あんな我が儘な国を植民地にしたのが失敗だったと思います」

 普通に強姦したり整形するのはな……。

「独立させた後は小銃くらいを売却して小規模の軍隊を作らせたいいと思います」

「では朝鮮にしていたインフラ用のカネを日本に回すというのかね?」

 吉田さんが聞く。

「はい。台湾は別にそのままで大丈夫だと思います。それと満州ですが軍事的に要塞やトーチカを作って対ソ戦に備えは必要です」

 俺の言葉に東條さんと杉山がピクリと肩が動いた。

「ソ連が参戦するのかね?」

「1945年8月8日です。ソ連は満州、千島列島に侵攻しました。その時、捕虜の日本兵はシベリアに抑留され、満州にいた日本人の女性はソ連兵に強姦、しまいには戦争が終わるとソ連へ連れ去った件もあります」

「………なんと言う事だ」

 杉山がそう呟いた。

「それだけは何としてでも防がないとな」

 東條さんは頷く。

 それからも、会合は続いた。

「………そろそろ時間ですね。今日はこの辺で終了しましょう」

 吉田大臣が閉会宣言をする。

 確かに時刻は零時近いな………あ、そうや。

「すみません、最後に一ついいですか?」

「何かね?」

「陸海軍の犬猿の仲を改善するために陸軍士官学校対海軍兵学校で体育祭などの交流をしたらどうですか?それと、士気向上のために女性兵士を採用してはどうですか?」

「ふむ………前者は成る程と思うが、後者の意味はあるかね?」

 山本長官が尋ねてくる。

「女性兵士は主に国民や平和の士気向上にと考えています。ただ、捕虜された後の事を考えると航空隊への所属が良いと思います。ソ連では独ソ戦の時に女性パイロットや女性狙撃兵が活躍しています」

「ふむ、後者は今後の事を考えると育成だけは必要性だな」

 杉山が言う。

 それで会合は終わった。

「あぁ姫神君。ちょっと待ってくれないか?」

 帰ろうとしたら東條さんに声をかけられた。

「はい、何ですか?」

「うむ。実はな、戦車の事で話し合いはしたいのだが、儂も大臣やら他の仕事が忙しくて中々君と個人での会合が出来ないのだよ」

「はぁ」

「そこで連絡用としてうちの士官を一人、君の部下としてもらいたいのだよ」

 成る程な。

「自分は構いませんが、吉田大臣や山本長官達は了承したんですか?」

「あぁ、それは了承してくれた」

 なら、問題は無いか。

「良いかね?」

「はい、大丈夫です」

「分かった。では後日に士官を派遣として送る」

「分かりました」

 俺は東條さんにそう頷いた。






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