スポーツ

[虎四ミーティング]
吉原知子(元全日本女子バレーボール)<後編>「メダル獲得へのポイント」

2012年02月25日(土) スポーツコミュニケーションズ

なでしこに学べ

二宮: 日本の女子のボール競技といえば、バレーボールが花形でしたが、昨年のなでしこジャパンの活躍を機に、サッカーにお株を奪われている感もあります。
吉原: なでしこは単に人気先行ではなく、ちゃんと世界一になってブームになった。バレーボールもそうならなくてはいけないと感じますね。選手はもちろん、すべてのバレーボール関係者が「私たちも頑張らなきゃ」と思ったのではないでしょうか。

二宮: 同じ女子アスリートとして、なでしこの選手たちにはどのような印象を持っていますか?
吉原: 何より貪欲ですよね。アルバイトをしたり、苦労をしている選手も多いので、考え方もしっかりしている。目標が明確だなと感じますね。だからフィーバーで注目が一気に集まっても、自分を見失っていない。当たり前かもしれませんが、“私はあくまでもアスリート”という軸がブレていないのは素晴らしいなと思います。

二宮: バレーボールは大きな企業がチームを持っていて、女子スポーツの中では比較的待遇が恵まれています。ハングリーさにおいては、なでしこの選手たちに見習う点があると?
吉原: いい環境でプレーできることは、選手にとっては幸せです。でも、それに甘えてはいけない。なでしこの選手たちを見ていると、バレーボールの選手たちも、もっと必死になれるはずだと感じましたね。

二宮: その点、吉原さんはイタリアに挑戦したり、決して平坦な道を歩んできたわけではありません。競技生活の上ではプラスになった部分も多いのではないでしょうか。
吉原: 海外でプレーしたり、いろんな経験をするなかで、“私たちって恵まれていたんだな”と気づかされたことは良かったです。だからこそ、“もっと頑張らなきゃ”というエネルギーが生まれました。きっと国内でプレーしているだけでは分からなかったでしょう。若い選手たちにも、あえて荒波にもまれることも必要なんじゃないかと思います。

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