スポーツ

[虎四ミーティング]
吉原知子(元全日本女子バレーボール)<前編>「眞鍋ジャパンへの期待」

2012年02月10日(金) スポーツコミュニケーションズ

信頼できるエース木村

二宮: さて全日本女子は五輪予選を兼ねた昨年11月のワールドカップで惜しくも4位となり、この大会での出場権獲得はなりませんでした。次は5月の最終予選で五輪出場を狙います。4位とはいえ、これはワールドカップでは1989年以来の好成績。一昨年の世界選手権では32年ぶりのメダル(銅)を獲得しましたし、日本のレベルは上がっていると判断してよいでしょうか?
吉原: 良くなっていると思いますし、そう信じたいです。眞鍋政義監督が目指している戦術も明確ですし、選手たちもよく理解している。だから、ひとつひとつのプレーも正確性が増し、精度が高まっています。

二宮: 眞鍋監督はセッター出身ですから、戦術もかなり細かいと言われています。
吉原: はい。データを活用するのが得意な監督ですね。1から10まで、よく練習しています。前任の柳本(昌一)監督もデータを重視する方でしたが、当時とは日本が置かれている状況が違います。柳本さんが監督に就任した時は、日本が五輪出場を逃し、土台からつくり直す必要がありました。でも今はバレーボールの基本を選手たちが分かっている。だから、ここからいかに上積みできるかが勝負になっていると思います。

二宮: 吉原さんが代表キャプテンを務めていた頃に若手だった木村沙織選手などが今ではチームの柱になっていますね。
吉原: 木村はだいぶしっかりしてきましたね。初めて出会った頃は自分のことばかり考えていたのですが、最近はチームの中で意見や指示を出せるようになってきたと聞きます。その点では大きく成長しました。

二宮: チームのまとめ役のみならず、エースアタッカーとしても安定して高い決定率を残しています。
吉原: そうですね。ただ、個人的には決定率はどの場面で決めたかも含めて評価してほしいと感じています。序盤の1点と、20点以降の勝負どころでの1点は大きく違う。そこで決められるか決められないか。この点でも木村は日本のなかで一番信頼できる選手だと思っています。

二宮: 確かに。いくら決定率が同じ50%でも、序盤で決めて最後に外す選手と、序盤は不調でも最後に決めてくれる選手だったら、後者のほうがチームにとってはプラスになる。
吉原: 木村はどんなに調子が悪くても、大事な場面では確実に点数を獲ってくれます。決定率だけみれば、若手にもいい選手がいますが、まだ木村ほどの安定感はない。

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