ここに注目! 「公務員給与削減・大筋合意の背景は」2012年01月27日 (金)

太田 真嗣  解説委員

国家公務員の給与削減をめぐって、民主・自民・公明の3党は、人事院勧告による引き下げを実施した上で、さらに新年度から2年間、平均で7.8%削減することで大筋合意し、最終的な調整が行われています。合意の背景と今後の課題はなにか?太田解説委員です。

Q、公務員給与の削減問題、ようやく先が見えたということですか?

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A、はい。国家公務員の給与削減をめぐって、政府は、今年度の人事院勧告の実施を見送る代わりに、給与を平均で7.8%引き下げることにしていましたが、自民・公明両党は、人事院勧告は実施すべきだと主張しました。話し合いの結果、民主党が譲歩する形で、まず、今年度、人事院勧告による引き下げを実施し、その上で、さらに新年度から2年間7.8%の削減を行うことになり、3党の最終的な調整が行われています。
 公務員にとっては、当初の案より、より厳しい内容です。
 
Q、このタイミングで民主党側が歩み寄ったのはなぜですか?

A、与野党で合意できそうな問題は速やかに決着させ、消費税率の引き上げを含む一体改革の議論に入る環境を早く整えたいという思いがありました。また、政府は、給与削減で浮く予算を東日本大震災の復興財源にあてることにしており、4月から削減を実現するにはギリギリのタイミングでした。
 
Q、改革の実現に向け、一歩前進ということですか?

A、前進には間違いありませんが、そう簡単にはいきません。民主党の最大の支持母体である連合の古賀会長は、給与削減とあわせて、公務員の労働条件を労使交渉で決めることなどを盛り込んだ法案を、今の国会で成立させるよう強く求めています。しかし、自民・公明両党は、この法案に反対ですから、民主党の出方によっては、給与削減の行方にも影響を与えかねません。それに、一体改革に向けては、さらに大きな障害があります。
 
Q、それはなんですか?

A、衆議院の一票の格差是正と議員定数の削減問題です。民主党は、衆議院の小選挙区を5つ削る一方、比例代表の定数を80削減することを提案していますが、他の党は、「選挙制度を抜本的に見直すべきだ」などと批判しています。民主党の輿石幹事長は、党の案にこだわらず、柔軟に対応する考えも示していますから、この難問をどう乗り切るのか、注目したいと思います。

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