2012年3月6日 21時19分 更新:3月6日 22時59分
枝野幸男経済産業相は6日、東京電力が子会社や関係会社などと取引する際に結ぶ随意契約の取引額を、3年以内に3割削減するよう東電と政府の原子力損害賠償支援機構に指示する考えを表明した。「身内」企業との随意契約は、東電の高コスト体質につながっていると指摘されており、抜本的にコスト構造を見直す。
同日開かれた政府の「電力システム改革専門委員会」で、東京都の猪瀬直樹副知事が、競争入札の拡大や契約単価の引き下げなどを徹底すれば「子会社や関係会社との年間1720億円の随意契約のうち500億円、3年で1500億円削減できる」と指摘し、「削減分を値上げの抑制に回すべきだ」と訴えた。これに対して、枝野経産相は「少なくとも3年以内に3割という目標で(合理化を)深掘りするよう指示したい」と応じた。
子会社や関係会社が絡む不明朗な取引については、東電がOBの受け皿となっている子会社に社員専用レストランの経営を委託しておきながら、実際の業務は別会社に丸投げして、子会社に利益を落としていたことが都の調査で判明している。東電は必要以上の高いコストを子会社に支払い、それが最終的には電気料金に上乗せされている。
また、猪瀬副知事は委員会後、記者団に対し、東電のグループ会社118社に計155人の東電OBが役員として在籍していることを明らかにした。東電からの出向や東電役員との兼務の非常勤役員を合わせると計486人にのぼる。出向者を除く常勤役員の平均年間報酬額は1085万円で、役員のほとんどを東電OBが占めているグループ会社もあった。
猪瀬副知事は「(割高なコストの)ツケを利用者に回す構造は、東京電力だけではなく、電力会社全体の問題。見直しを進めていかなければならない」と指摘した。【永井大介、和田憲二】