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【蹴球探訪】

岡山一成が語るACL必勝法

2012年3月6日

ACL優勝を決め、メダルを手に笑顔を見せる浦項の岡山=2009年11月7日、国立競技場で

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 ACLでは、2008年にG大阪が大会初制覇を飾ったのを最後に、この3年間は苦戦が続いている日本勢。韓国・Kリーグの浦項の一員として、09年に優勝した経験を持つ札幌DF岡山一成(33)に、アジアの激闘を勝ち抜くためのポイントを聞いた。 (スポーツライター・斉藤宏則)

◆日程過酷 ターンオーバー必要

 まず岡山が提唱するのが、試合ごとに複数のメンバーを入れ替える「ターンオーバー」の積極採用だ。

 「(ターンオーバーが必要な理由は)リーグ戦の合間にACLの試合が入る日程はとても過酷。広いアジアは移動もハードで、コンディションの占めるウエートは大きい。選手をいい状態に保つことが重要になります。ACLで蓄積する疲労は想像以上です」

 ひとつひとつの試合はどのように乗り越えていくべきか。アジアのアウェー環境は厳しい。

 「中東や中央アジア、中国などのスタジアムの雰囲気は殺伐としていて異様と言うしかない。ブニョドコル(ウズベキスタン)との試合では、男ばかりの野太い声援に威圧されてしまいました。山東魯能(中国)のスタジアムには大量の軍隊が警備をしていたり、日本のスタジアムのような、温かな空気は全くありません。

 普段通りのメンタルで戦うのは困難です。また、ピッチ(芝生)状態が劣悪な会場も多いです。ですから、アウェーではいい内容のサッカーをしようと思わないことですね。自分たちのサッカーなんてできません。アウェーでは割り切って引き分けを狙い、ホームで確実に勝ち点3を取る。それを考えたほうがいいと思います。

 そして、そのためにはサポーターの力も大事。ホームゲームではゴール裏だけじゃなく、バックスタンドやメーンスタンドのお客さんも、相手に重圧を与えるくらいのつもりで声援を送ってほしい。ACLではピッチ外の戦力も重要視する必要があります」

◆審判と会話 語学重要

 そして、岡山が“裏技”として強調するのが「語学力」だ。

 「アジアの大会では、審判の判定が偏ることが多々あります。なので、外国人の審判団とも英語などで積極的にコミュニケーションを取ることをオススメします。実はこれが結構、効くんです(笑)。好意的なジャッジをしてもらえるとまでは言いませんが、笛がだいぶ違ってくると思いますよ。特にキャプテンは審判との接触が多いので、簡単な英会話をできるようにして試合に挑むべきですね」

◆リーグ全体でサポート

 実際に岡山もACLでゲームキャプテンを務めた際に、小まめに主審と談笑し、良好な関係を築いたことで、ストレスなく試合が進んだことがあったという。

 「1次グループで主審を務めた人が、決勝トーナメントでも担当する確率は高い。彼らと距離を縮めて顔を覚えてもらうことが後でプラスに働きます。別にズルいことをしているわけじゃないですからね」

 もうひとつ、Jリーグ全体でのバックアップ態勢も重要だと言う。

 「07年に浦和、08年にG大阪と、2年連続で日本勢にアジア制覇をされた悔しさから、韓国も万全の準備でクラブがACLに挑める体制を作ったんです。ここ数年、日本は韓国、中国に押され気味。今度は日本がACLに向けた環境整備に力を入れるべきです。東京や柏はACLで感じたことを積極的に発信してほしい。ACLには、当事者でなければわからない難しさがたくさんありますから」

(2012年3月6日 東京中日スポーツ紙面より)

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