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事件
【3・11】仮設住宅の高齢者「やることねえ。生き甲斐ない…」
2012.3.6 23:46
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仮設住宅の高齢者のケアは行政にとって大きな課題だ。慣れ親しんだ土地を離れ、地域社会のつながりをも失った苦しみは現役世代の比ではない。元の生活に戻ろうという意欲を高めるのは難しく、特に福島第1原発事故の警戒区域の住人はいつ自宅に戻れるか分からない状態が続く。「孤独死」も相次いでいる。
そうした中、福島県富岡町の住民が避難している大玉村の「安達太良(あだたら)仮設住宅」の独自の取り組みが注目を集めている。仮設には日中、43本の黄色い旗がはためく。自治会長の鎌田光利さん(56)が70歳以上の高齢者の安否を確認するために配ったものだ。高齢者は毎朝、旗を部屋の外に掲げ、夕方に取り込む。
「毎日全世帯を見回るのは難しいが、これなら旗の有無で外から簡単に安否が分かる」。昨年秋には、夜に旗が取り込まれていなかった部屋で、70歳の男性が動けなくなっているのを発見した。胆石だった。
昨年末には希望する12戸の高齢世帯に赤色灯も配った。部屋のボタンを押せば、サイレンとともに赤色灯が回り、異常を知らせる仕組みだ。旗と赤色灯の費用計約30万円は鎌田さんが負担した。「町に支援をお願いしたが断られた。行政に任せていては対応が遅くなるので、自分たちでできることを考えた」
鎌田さんらの行動は行政を動かした。富岡町は赤色灯をほかの仮設住宅にも導入するため、予算計上する予定だ。(小野田雄一)
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