'12/3/1
慰安婦問題で謝罪要求 韓国大統領、就任後初めて
【ソウル共同=粟倉義勝】韓国の
李大統領は昨年12月の野田佳彦首相との首脳会談で慰安婦問題の「優先的な解決」や「誠意ある措置」を求めていた。こうした要求は世論の支持をつなぎ留める目的が強く、来年2月に政権の任期が切れるまで続ける可能性が高い。任期内の日韓関係の修復は難しくなった。
また同日、植民地支配下の朝鮮半島で起きた「3・1独立運動」を記念するソウルでの式典演説でも、李大統領は早期解決へ向けた努力を日本に求めた。
李大統領は手紙で、昨年末に韓国の団体がソウルの在韓国日本大使館前に慰安婦の被害を象徴する少女の像を設置したことに理解を示し、慰安婦問題に対応しない日本の姿勢に「大きく失望した」と記した。
演説では、高齢の女性らが亡くなれば「日本は解決の機会を永遠に失うことになる」と警告。同式典の演説で慰安婦問題に言及したのも、李大統領の就任後初めて。
韓国では昨年8月に憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求に関し政府が措置を講じてこなかったのは違憲と判断したのを受け、政府が日本に賠償請求権に関する協議を求め始めた。日本は個人の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で全て解決済みとして応じない姿勢を取っている。
残り任期1年を切った李政権は、所得格差拡大や政権高官の相次ぐ不正発覚で求心力を失っており、これが昨年末からの対日強硬姿勢の背景になっている。
大統領は演説で、対北朝鮮政策には言及しなかった。