河村たかし名古屋市長が「尾張名古屋共和国」を掲げて市域拡大を目指す構想で、同調を求められている尾張地方24市町村の首長の間には温度差が見られる。2月28日夜の「居酒屋会合」の翌29日、本紙が実施したアンケートでは、公共事業を進めるため名古屋市の財政力に期待する声の一方、中核都市からは「大きければいいというものではない」と冷ややかな意見も聞かれた。
連携への期待が強かったのは、名古屋市と接する自治体。石川英明・豊明市長と岩本好広・大治町長が「地下鉄の延伸を」と願えば、庄内川の対岸に位置する加藤静治・清須市長も「河川や道路など基盤整備の調整、推進役を」と望んだ。
ただ、人口が30万人を超える一宮市の谷一夫市長は、名古屋市への期待は「特にない」として距離を置く。春日井市の伊藤太市長は「中身が分からない段階で軽々に言えない」と様子見の構え。岩倉市の片岡恵一市長は「名古屋中心の発想を尾張広域に広げて」と注文を付けた。
横浜市を超える都市を目指す共和国構想には「具体的な姿が分からない」と賛否を決めかねる回答が3分の2に達した。賛否の理由は「尾張名古屋の方が歴史的なつながりがある。中京都より分かりやすい」「一つの市になることは考えていない」などだった。
河村市長が呼び掛けた「居酒屋会合」には22自治体の首長らが参加し、4月に予定される次回も参加の意向が大半を占めた。
参加者によると、会合は1人5000円の会費制。全員が、私費で支払ったと答えた。ただ、今回の会合への参加が首長としての公務だったのかどうかは、判断が分かれた。
石川・豊明市長は「線引きは難しい」と回答。ある自治体の担当者は取材に「昼間の会議と夜の懇談会を分けてくれれば公務と言いやすい。いきなり居酒屋でのスタートでは…」と話した。 (荒井隆宏)
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