名古屋市と姉妹都市提携を結ぶ中国・南京市が河村たかし名古屋市長の南京事件否定発言に抗議して交流停止を発表したことに対し、名古屋市議会からも困惑の声が起きている。市長発言の前に南京市を訪問し、南京事件についての議論を呼び掛ける市長の親書を渡した市議は「その時は『議論するのは結構だ』と言われたのに、いきなり交流停止になるのは残念でならない」と、南京市の対応を疑問視した。
親書を手渡したのは藤沢忠将市議(自民)と山本久樹市議(民主)で、2月7~9日に南京を訪問。市の担当者らとの面会で「南京事件について考え方に違いがある。友好親善を図るためにもぜひ意見交換したい」と提案、河村市長の親書を渡した。南京市側は「我々の認識が間違っているとは思わないが、議論は大いに結構」と和やかなムードで答えたという。河村市長はそのやりとりを踏まえて20日に「南京事件はなかったのではないか。いっぺん討論会を開きたい」と発言した。
藤沢市議は「こちらは両市が未来志向でやっていく前に一度議論しましょうと言っただけ。一方的に友好ストップというのは残念」と厳しい表情。山本市議は「話が違うという印象で、議論さえダメというのはおかしい。友好と言いながら南京には日本人が少ない。歴史認識の問題がうまくいけばもっと企業も進出する」と話した。
中国政府関係者は23日、毎日新聞の取材に「南京事件については日中両政府の間で研究を進めている。議論は専門家同士でやるべきだ」と話し、地方政府同士で議論するテーマではないとの立場を示した。【三木幸治、福島祥、丸山進】
◇東山動植物園HP、外部から書き換え
名古屋市は23日、東山動植物園公式ホームページ(HP)が外部からの不正侵入で書き換えられたと発表した。「南京大虐殺を認めてください」などの言葉が含まれており、河村たかし市長の南京事件を巡る発言を受けたいたずらの可能性がある。市は県警に被害を報告し、不正に書き込まれた部分を削除した。市緑政土木局によると、同日午前8時45分ごろ、市職員が不審な書き込みを発見。22日午後10~11時ごろに書かれたとみている。【福島祥】
南京ジャパンウイークは在上海日本総領事館が主催し、09年を除き07年から毎年開かれている。5回目の今年は3月9~11日の予定。SKEの出演日は公表されていないが、メンバー68人のうち16人が参加する。総領事館職員は「市民の反発で混乱を来す恐れもある。市長発言はタイミングが悪すぎた」とぼやいた。【丸山進】
毎日新聞 2012年2月23日 23時28分(最終更新 2月24日 2時04分)