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競売妨害容疑:不動産会社社長を逮捕 組関係者出入り

 競売に掛けられていた東京都港区の不動産会社「ABCホーム.」のマンションを巡り、塩田大介元会長(44)らが虚偽の不動産登記で落札を免れようとしたとして、警視庁組織犯罪対策4課は6日、元会長の兄で社長の塩田雄司(45)と会社役員、小野塚清(63)ら5容疑者を競売入札妨害などの容疑で逮捕。元会長についても同容疑で逮捕状を取った。マンションの一部は芸能人や政界、暴力団関係者が出入りする会員制サロンとして使われたとみられ、組対4課は元会長らが「迎賓館」と呼ばれたマンションで人脈を築こうとしたとみている。

 逮捕容疑は09年5月、商工中金が東京地裁に競売を申し立てていた港区西麻布2の5階建てマンションについて、未登記の増築部分があり、別の不動産業者が所有しているという虚偽の登記をするなどして複雑な権利関係があると装い、入札を妨害したとしている。

 翌月には、増築部分は豊島区の事務機器販売会社による04年5月からの賃借権が設定された。しかし部屋は隣室と事実上一体のうえ増築時期も異なるといい、組対4課は落札を防ぐための偽装工作だったとみている。逮捕された5人は容疑を否認しているという。

 民間信用調査会社などによると、ABC社は94年設立。大手業者の在庫物件を低価格で販売して業績を急拡大させたが、塩田元会長は08年12月、東京地検特捜部に法人税法違反(脱税)容疑で逮捕され、09年8月、懲役2年・執行猶予4年、罰金1800万円の有罪判決を受けた。【前谷宏、浅野翔太郎】

 ◇芸能、政界に幅広い人脈

 不動産会社「ABCホーム.」の塩田大介元会長は00年に同社の社長に就任。有名ベンチャー企業の経営者らから出資を受ける一方、自らの結婚式では自民党の元幹事長が立会人を務めるなど、芸能人や政治家らと幅広い交流を持っていることで知られた。こうした人脈を築く上で大きな役割を果たしたのが「迎賓館」の別名を持つ東京都港区の5階建てマンションだった。

 関係者によると、元会長は自分や会社名義などで98年から計8部屋あったマンションの購入を進め、04年までに全部屋を保有。1階は事務所、2階は親族の住居として使い、3~5階は会員制のサロンとしてパーティーやイベントを開いていたという。

 元会長の知人は「ラウンジで有名な歌手やプロ野球選手を紹介し、自分はすごいということを見せつけていた。ただ、最近は金に困り、知人からの借金を繰り返していたようだ」と話した。

 毎日新聞は元会長側に取材を申し込んだが、回答はなかった。【前谷宏】

毎日新聞 2012年3月6日 13時22分(最終更新 3月6日 18時50分)

 

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