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高田松原の流木 バイオリンに

3月6日 18時50分

高田松原の流木 バイオリンに
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東日本大震災で1本を残して流された岩手県陸前高田市の高田松原の松の流木などを材料にしたバイオリンの制作が東京の楽器職人の手で進められています。
バイオリンは震災から1年となる今月11日に現地での追悼式で演奏される予定です。

バイオリン作りを行っているのは、東京・渋谷区に工房を持つバイオリン職人、中澤宗幸さん(71)です。
これまで名器ストラディバリウスの修復なども手がけてきました。
中澤さんは津波で流された流木で楽器を作り、国内外で演奏し続けてもらうことで被災地への支援につなげたいとバイオリン作りを思い立ちました。
去年12月に陸前高田市をみずから訪れ、「奇跡の一本松」を残してすべて流された「高田松原」のマツやカエデの流木の中から材料を見つけて制作に取りかかりました。
制作したバイオリンは2台。
裏板となるカエデは通常、バイオリンに使われるヨーロッパの木材に比べて硬いため10分の1ミリ単位での厚みの調整に苦心したということです。
裏板には中澤さんの友人の画家の手で「一本松」の絵も描かれています。
すでに形は出来上がり、中澤さんは表板と裏板をつなぐ「魂柱(こんちゅう)」を削り出したり、弦を張ったりする最終工程を進めています。
中澤さんは、「被災した人たちが心を癒やせるような、新たな出発に踏み出せるような優しい音色になるようぎりぎりまで調整を重ねたい」と話していました。
このバイオリンは今月11日に陸前高田市で行われる追悼式で、参列者が献花をする際に、世界的なバイオリニストでイスラエル人のイブリー・ギトリスさん(89)が演奏することになっていて、その後は国内外の演奏家がリレーのように各地で演奏を続けるということです。