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被災世帯の3割が収入半分以下に

3月5日 17時34分

被災世帯の3割が収入半分以下に
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東日本大震災から1年になるのを前に、NHKは仮設住宅などに暮らすおよそ600人にアンケートを行いました。
その結果、収入が震災前の半分以下になっている家庭が3世帯に1世帯あり、生活の再建が思うように進んでいない実情が浮き彫りになりました。

NHKは、東日本大震災で特に被害が大きかった岩手、宮城、福島各県で被災し、仮設住宅などに暮らす609人に生活の再建についてアンケートを行いました。
この中で世帯全体の1か月の収入について尋ねたところ、「10万円から20万円」が39%、「10万円以下」が11%、「ない・ほとんどない」が6%となっていました。
収入を震災前と比べた場合、半数の人が「減った」と答え、このうち「半分程度に減った」と「4分の1以下」がいずれも17%で、34%=3世帯に1世帯が半分以下の収入になっていて、生活の再建が思うように進んでいない実情が浮き彫りになりました。
アンケートでは、これまで家計を支えていた人が現在、仕事に就くことができているかどうかについても尋ねました。
その結果、「正社員」に就いている人が29%、「農業・漁業を含む自営業」が11%、「パート・アルバイト」が9%、「短期の雇用」が6%などとなっていました。
一方、「失業中・休業中」と答えた人は22%で、家計を支えていた人の5人に1人が仕事に就いていない状況が分かりました。
失業中や休業中の人にその理由を尋ねたところ、「希望する職種の求人が地元にない」が15%、「年齢など条件が合わず採用されない」が14%、「事業を再開する土地や資金がない」が12%などとなっていました。
震災から1年がたっても生活の再建が進んでいないことについて、災害復興に詳しい関西学院大学の室崎益輝教授は「震災で多くの財産を失っているにもかかわらず収入が半分以下だと将来に対する夢が持てない。ふるさとに残って仕事をする意欲がなくなれば人口がどんどん減り、地域社会が衰退をしていく。単に雇用を増やすのでなく、被災者の気持ちに沿った仕事を生み出していかないと復興は前に進まない」と指摘しています。