切れた神経を再生させるタンパク質を世界で初めて突き止めたと名古屋大学などの研究グループが発表し、せき髄損傷などの新しい治療法の開発につながると期待されています。
研究を行ったのは、名古屋大学大学院理学研究科の松本邦弘教授と久本直毅准教授らのグループです。
実験には「線虫」という小さな虫を使い、神経を人工的に切断して、再生の様子を詳しく調べた結果、神経が再生する際に働く遺伝子が「SVH」と呼ばれる特殊なタンパク質を作り出していることが分かりました。
遺伝子を操作しなかった虫では、切れた神経の5%程度しか再生しなかったのに対して、遺伝子を操作して、このタンパク質の量を増やした虫では、40%から60%が再生したということです。
このタンパク質を作れないようにした虫では神経は再生しませんでした。
研究グループでは、神経の再生に必要なタンパク質を突き止めたのは世界で初めてだとしています。
久本准教授は「より高等な動物で研究が進めば、治療が難しいせき髄損傷などの治療法の開発などにつながるのではないか」と話しています。
この研究成果は、5日発行のアメリカの科学雑誌「ネイチャーニューロサイエンス」に掲載されます。
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