プーチン首相の大統領選勝利を受け、日露両政府は5月19~20日に米シカゴで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議に合わせて首脳会談を行う方向で最終調整に入った。北方領土問題でプーチン氏が「最終決着」に意欲を示したのを受け、交渉を活発化させる方針を確認するとみられる。ただ日本政府内では、ロシア側が大きく譲歩する可能性は低いとの見方が大勢。早急な進展は難しそうだ。
野田佳彦首相は5日夕、プーチン氏と約5分間電話で協議し「大統領就任以降『始め』の号令をかけて、ともに日露関係の次元を高めるべく協力していく。英知ある解決に取り組みたい」と伝えた。プーチン氏は「すべての分野で日露関係を発展させるべく、野田首相にお目にかかるのを楽しみにしている」と述べた。
日本政府は当面、9月にウラジオストクで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に照準を合わせ、経済分野などで日露協力の土台を固めつつ、相手の出方を探る構え。政府筋は「この6カ月の対応が、その後の領土交渉に影響する」と語る。
ただ、プーチン氏の求心力はかつて大統領を務めていた時より弱まっているとみられ、外務省幹部は「大きな課題を動かす力があるのかを注視しなければならない」と指摘した。【横田愛】
毎日新聞 2012年3月6日 2時30分