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震災時の津波防災支援システム 東北自治体88.9%未活用

 東北地方整備局が2008年度から運用する東北地方津波防災支援システムを88.9%の自治体などが津波対策に活用していなかったことが5日、分かった。東日本大震災発生時は、システムに入る手続き(ログイン)ができたのは、太平洋沿岸の自治体のうち3自治体にとどまった。
 東北6県や沿岸市町村、各地の消防本部、海上保安部の計88団体を対象に、今年1〜2月に実施したアンケート(回収率100%)で判明した。
 震災発生時にログインを試みたのは8自治体。ログインできたのは、宮城県港湾課、岩手県河川課、青森県おいらせ町の3自治体だけだった。
 システムを使わなかった理由は「停電」が最も多く24.5%を占め、「気象庁などから情報を入手していた」(20.4%)、「存在や内容を忘れていた」(18.4%)などが続いた。
 震災前、システムの情報内容を「見たことがある」と回答したのは51.4%にとどまった。
 今後は、86.6%が浸水範囲予測、住民の避難誘導や情報提供などに、システムを活用する意向を示した。
 システムを閲覧するには、あらかじめ配布されたパスワードなどを入力する必要がある。浸水予測地図の表示には震源地やマグニチュードなどを入れる作業を伴う。
 閲覧の前提となるインターネット回線の多重化など、災害時のネット環境確保は、91.4%が「実施してない」と回答。自治体側の危機対応に不備があることも、うかがわせた。
 整備局は「震災時は、システムの情報を基に気象庁が津波レベルを段階的に引き上げるなど効果はあったが、煩雑性が自治体の利用を妨げている」と分析。今夏をめどに、利用者特定の簡素化、情報配信の自動化などシステムの改善・強化に向けた方策をまとめる方針。

 [東北地方津波防災支援システム] 08年度に運用開始。約25億円をかけ、衛星利用測位システム(GPS)を使った波浪計を太平洋沖に7基、日本海沖に3基設置。感知したデータを解析し、津波の高さや到達時間、流速を瞬時に知らせ、浸水予測地図も表示する。気象庁は注意報・警報発令に反映させている。


2012年03月06日火曜日


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