2012年1月7日 2時31分
会員約3万人を擁する日本弁護士連合会の会長選が11日に公示される。史上初の再選を目指す宇都宮健児会長(65)に3人が挑む見通しで、投開票は2月。新人弁護士の就職難が深刻化する中、現在年約2000人の司法試験合格者数をどうするかなどの争点を巡り、混戦も予想される。公示を前に新人候補予定者が取材に応じた。
山岸憲司弁護士(63)は日弁連事務総長、副会長を計3年間務めた。法曹養成制度の改革に意欲を持ち、司法試験の合格者数について「まずは1500人を実現し、さらなる減員も視野に入れるべきだ」とし、受験回数制限も現行の「5年で3回まで」から「5年で5回までに緩和が必要」という。「全国各地の会員のアイデアを集約し、新たな視点で職域の拡大を図りたい。業務に直結するプログラムを提供する総合研修センターも設けたい」と話した。
尾崎純理弁護士(64)も元日弁連副会長。地方自治体における弁護士の役割を考える日弁連のワーキンググループ代表などを務め、「国会議員など幅広い人脈を生かし、裁判員法の制定や震災立法に寄与してきた」と実行力に自信を示す。施策については「原発被害者が適切に救済されるよう弁護士の支援体制を充実させたい。司法試験の合格者数はまず1500人程度に減らし、若手のために自治体や企業のニーズに応じた職域拡大策も講じたい」と述べた。
森川文人弁護士(49)は元第二東京弁護士会副会長。弁護士有志の反原発グループの代表などを務め、「今の日弁連は原発に対する姿勢があいまい。再稼働阻止と廃止を明確に打ち出したい」とする。法曹3者が一体となって推進してきた司法制度改革については「弁護士人口の激増政策は明確な間違い。司法試験の年間合格者数は以前の500人以下に下げるべきだ。国民に参加を強制する裁判員制度の廃止も強く訴えたい」と語った。
宇都宮会長は就任後、合格者数について明言していないが、日弁連内の法曹人口政策会議は先月、「まず1500人程度に減員」などとする提言案を作成し、各弁護士会の意見を集めている。【伊藤一郎】
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