障害者自立支援法の廃止を求めた違憲訴訟の元原告団・弁護団が5日、神戸など全国14カ所で一斉に記者会見を開き、政府が今国会に提出を予定している同法の改正案を撤回するよう訴えた。元原告らは「改正案は違憲訴訟の和解時に国と交わした合意文書と大きく異なる内容。約束を反故にされた」と厳しく批判した。
障害者自立支援法をめぐっては、サービス量に応じて原則1割の利用料を負担する「応益負担」が重度の障害者ほど負担が重くなるなどとして、各地で障害者らが提訴。政権公約で法律の廃止を掲げた民主党は2010年1月、謝罪と新法制定などを記した「基本合意」を原告団と締結、和解が成立した。
しかし先月、政府が示した改正案では、法律名や理念などを改めただけの修正案を新法とし、応益負担の廃止は見送った。
神戸司法記者クラブでは9人が会見。元原告で女性(24)の母親(53)=神戸市北区=は「基本合意で喜んだ分、改正案には悲しさとふがいなさでいっぱい。このまま諦めるわけにはいかない」と述べた。
視覚障害者で元原告の男性(70)=同市北区=は「私たちはヘルパーがいないと日常生活を送れない。生きていこうとする人からお金を取るのはおかしい」と怒りの声を上げた。(前川茂之)
(2012/03/05 22:15)
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