野田首相 谷垣総裁 極秘会談のおバカな真相
【政治・経済】
これで局面打開…は大甘だ
この極秘会談は、2月29日夜の日本テレビのニュースが第一報を報じた。翌日の朝刊でも複数の新聞が後追いしたが、当の野田と谷垣は完全否定。しかし、藤村官房長官は会談の事実は否定しつつも、「一般論ではさまざまなチャンネルで会談があっていい」と意味深に答えた。ここに官邸サイドのセコイ思惑が見えるのだ。
「情報源は官邸筋のリークのようです。極秘会談情報を流し、大連立を連想させることが目的でしょう。そうして噂が広まれば、消費増税に反対し、野田政権を追い詰めようとしている小沢グループの1年生や中間派の選挙基盤の弱い議員に揺さぶりをかけることができる。小沢グループが消費増税に反対しても自民党が協力すれば法案は成立するからです。財務省と藤井裕久元財務相が絵を描いたという見方もあります」(民主党関係者)
こうした奇策、情報リークは、野田がいかに追い詰められているかの裏返しでもある。野田は自民党は消費税引き上げに反対できないと踏んでいて、それが思い通りにいかないので焦りまくっている。そこでトップ会談で事態打開の大バクチに出たというのが真相だろう。
しかし、こんな唐突な連立話がうまくいくワケがない。小沢が会長を務める「新政研」の3月1日の会合には通常通り106人が集まり、動揺するどころか逆に反発を強めている。
谷垣も逆に窮地に陥っている。さっそく党内から「国会論戦が茶番だということになる。国民を愚弄する話だ」と批判が噴出。1日の代議士会では「まさか総裁がこんなことをするとは信じていませんが……」と、責められた。
「谷垣側近の逢沢一郎は、『官邸は信用できない!』と怒り心頭でした。ただでさえ谷垣では選挙が戦えないという声が根強いのに、今回の密会で『谷垣降ろし』に拍車がかかりそうです。密会が表ざたになったことで、谷垣総裁の野田首相への態度が硬化する可能性もあります」(自民党関係者)
国民向けにも最悪だ。そもそも世論は民自の大連立も消費増税も望んでいない。先月の読売新聞の世論調査では、〈今後の望ましい政権の枠組み〉について「民主と自民の大連立」が23%に対し、「政界再編による新しい枠組み」が53%。消費増税については「賛成」39%に対し、「反対」が55%なのである。政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「自民党政権の時代に国民に最も顰蹙(ひんしゅく)を買ったのが『談合政治』です。表で『正々堂々協議しましょう』と言いながら裏で手を組む。民自両党の支持率が低迷しているこの時期にまったく何をやっているのか。既成政党への不信感を加速させ、ますます第3極に流れるだけで、民自にとって何のメリットもありません」
小手先の目くらましで何とかなると思っている野田も谷垣も、政治が何もわかっていない。