NHK福島県のニュース 福島放送局

避難区域で飢えによる死者複数

東京電力福島第一原発事故の影響で立ち入りが制限された福島県の避難区域内で、自宅やその周辺に取り残されて食事や水を取れないまま餓死した疑いが強い人が複数いることがNHKの取材でわかりました。
この区域では、政府が出した避難指示によって大勢の住民の避難誘導が優先され救助活動や捜索が十分行われておらず、原発事故の影響で救うことができなかった命の存在が浮き彫りになりました。
去年3月11日の東日本大震災で、
県内では津波による「溺死」やがれきに巻き込まれて1605人が亡くなっています。
NHKが県内の自治体や警察などに取材したところ、この亡くなった人たちに含まれず原発周辺の避難区域内の自宅やその周辺で自力で逃げることが出来ずに食事や水を取れないまま餓死した疑いが強い人が少なくとも5人いることが
わかりました。
このうち原発からおよそ5キロの
住宅では去年3月下旬、70代の男
性が2階部分から遺体で見つかり、関係者によりますと住宅の1階部
分が津波の被害を受けていたということです。
また、原発からおよそ6キロ離れ
た住宅でも去年4月、60代の女性
が部屋のこたつの中で遺体で見つかり、関係者によりますと女性は1人暮らしで、住宅に大きな被害
はなかったものの足に持病を抱えていたということです。
5人はいずれもやせ細った状態で
みつかっていて当時、この区域では政府が出した避難指示の影響で救助活動が中断され、大勢の住民の避難誘導が優先されていました。このためしばらくの間、本格的な住民の救助活動や捜索が十分行われていなかったということで警察や遺体の状況を調べた医師は5人
は自力で避難できなかったり助けを求めることができなかったりして取り残された可能性があると指摘しています。
さらに、この区域内では当時、救助活動にあたっていた複数の消防団員が現場で助けを求める声を聞いたものの原発事故の影響で活動を中断せざるを得なかったと証言しています。
また、遺体を調べた複数の医師はNHKの取材に対し、津波の被災現場で見つかった遺体は目立った不審な点がなければ詳しい死因を調べる解剖などを行わず、「溺死」と判断したと説明しています。
その上で医師らは「溺死」と判断された人の中にも震災発生後の一定期間生存し、その後、衰弱するなどして別の死因で亡くなった人も含まれている可能性があると指摘していて、原発事故の影響で救うことができなかった命の存在が浮き彫りになりました。

03月05日 20時05分

福島県のニューストップへ

ご覧になりたい地域を地図から選んでください

未登録のニュース

登録

解除

    未登録のニュース

    登録

    解除

      マイエリアの登録方法

      表示したい都道府県を最大2つまで登録することができます。

      1. 未登録の場合は「登録」ボタンをクリックします。
      2. 登録したい都道府県を地図から選択します。
      3. 確認ボタンをクリックすると登録が完了します。

      ※登録した都道府県を変更するには「変更」ボタンをクリックします。