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震災後“絆弱まった” 3人に1人

3月5日 17時34分

東日本大震災をきっかけに、人々や地域のつながりを表す「絆」ということばが注目されるようになりました。
NHKが、被災した人たちに、この「絆」が震災後どうなったのかアンケートを行った結果、3人に1人が「絆が弱くなった」と感じていることが分かりました。

復興に向けたことばとしてよく使われる「絆」について、被災した人がどのように受け止めているのか、NHKは、岩手、宮城、福島各県のおよそ600人にアンケートを通じて尋ねました。
その結果、「家族や地域の人との『絆』が強まったと感じたことがある」と答えた人は、63%に上りました。
その理由としては、家族のことをこれまで以上に思いやるようになったことや、避難所でお互いの状況を話し合ったこと、ボランティアの人たちの思いやりに感銘を受けたことなどが挙げられています。
一方、逆に「『絆』の弱まりを感じたことがある」と答えた人は、38%、およそ3人に1人に上りました。
その理由は、震災後、家族が離れ離れになったことなど生活環境の変化のほか、人によって被災の深刻さが異なるため、互いに遠慮して接するようになったことや、仕事を再開できたかどうかで経済的な差が生まれ、関係がぎくしゃくしていること、自分の生活で手いっぱいで周りを思いやる余裕がない人が増えたことなどが挙げられていました。
このほか、「絆は大切だ」と言って押しつけられているような印象を受けるとか、絆は大事なときにそっと手を差し伸べてもらったときに感じるものだ、などという意見もありました。
この結果について、災害復興に詳しい関西学院大学の室崎益輝教授は「災害とは家族や家を奪うだけでなく、人と人とのつながりや人を思いやる余裕、将来に対する希望といった精神的なものまで奪ってしまうことだと思う。被災した人に寄り添って気持ちを理解することが重要で、お互いの連帯感、共通の目標が生まれると、そこに絆も生まれてくる」と話しています。