◇J2 甲府2−1栃木
J2甲府の城福浩新監督(50)が両拳を力いっぱいに固め、声にならない雄たけびを天にぶつけた。ブラジル人FWダビの完全復調の2得点で、難敵の栃木を雨天の中銀スタジアムにひざまずかせた。1999年のJリーグ参入以来、14年目でクラブ初の開幕戦白星を飾り、指揮官は「勝利に対する姿勢は見せられた」と少しだけ安堵(あんど)の表情だった。
分岐点は、同点で迎えた後半28分だった。途中出場のMF井沢が左サイドを突破した。ドリブルでエリア内深くまで突き進み、鋭角に折り返した球はGK武田にはじかれたが、助っ人が右足で押し込んだ。名古屋時代の09年4月の柏戦以来、3年ぶりの1試合2発に、ダビは「チームでまとまって勝ちたいと思ってやってきた。落ち着いて決められた良かった」と喜んだ。
城福新監督にとっては、約1年半ぶりのJリーグでの指揮。パスワークで好機を築き、計17本のシュートを浴びせながら苦戦しただけに、情熱家の指揮官は「(自分自身の)感慨はない。彼らと共に結果を出したかった。彼らと共に成長したい」と、J1再昇格に向けて満足感はみじんも感じさせなかった。 (松岡祐司)
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