ニュースリリース
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2012/03/05 プレスリリース
米袋の高速・高精度スクリーニング検査を可能にする
食品放射能検査装置 FOODSEYE を開発
〜 一袋あたり5秒で新基準値・スクリーニング法に対応 〜
株式会社 島津製作所(社長:中本 晃、京都市中京区)は、30kgの米袋に含まれる放射性セシウムを高速・高精度で測定できる「食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ)」の試作機を開発しました。4月から適用される食品衛生法の新基準値に対応したスクリーニング検査を5秒で行うことができます。本装置はガンの検診などに用いられる医用画像診断用PET装置の技術を応用したものです。BGOシンチレータ(ゲルマニウム酸ビスマス)と光電子増倍管を組み合わせた高感度の検出器を用いると同時に、検出器の周りを鉛で遮蔽することによって、自然環境からの放射線の影響を最小限に抑えました。大量の米袋をそのままベルトコンベアーに載せて流れ作業で検査し、設定した基準値以下であるかどうかを○×表示で簡単に確認することができます。
装置が実際に使用される環境での性能を確かめるため、みちのく安達農業協同組合(代表理事組合長:齋藤道雄、福島県本宮市)のご協力のもと、2月中旬より福島県二本松市において実証試験を行っています。さらに実証試験で得られた値を、当社子会社の株式会社島津テクノリサーチでゲルマニウム半導体検出器を用いて精密測定した値と比較・検証しました。
これらにより、本装置は4月1日より適用される食品衛生法の新基準値および、「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正」に対応できることを確認しています。スクリーニング法改正では、100 Bq/kgの基準値に対し、4分の1の測定下限値25 Bq/kg以下を性能要件としています。本装置は、一袋あたり5秒という短時間で測定下限値20 Bq/kg以下の測定が可能で、同改正の指定する性能要件を満たします。また、15秒では測定下限値10 Bq/kg以下の測定が可能ですので、乳幼児食品の基準値50 Bq/kgにも対応可能です。
装置が実際に使用される環境での性能を確かめるため、みちのく安達農業協同組合(代表理事組合長:齋藤道雄、福島県本宮市)のご協力のもと、2月中旬より福島県二本松市において実証試験を行っています。さらに実証試験で得られた値を、当社子会社の株式会社島津テクノリサーチでゲルマニウム半導体検出器を用いて精密測定した値と比較・検証しました。
これらにより、本装置は4月1日より適用される食品衛生法の新基準値および、「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正」に対応できることを確認しています。スクリーニング法改正では、100 Bq/kgの基準値に対し、4分の1の測定下限値25 Bq/kg以下を性能要件としています。本装置は、一袋あたり5秒という短時間で測定下限値20 Bq/kg以下の測定が可能で、同改正の指定する性能要件を満たします。また、15秒では測定下限値10 Bq/kg以下の測定が可能ですので、乳幼児食品の基準値50 Bq/kgにも対応可能です。
【開発の背景】
現在、食品の放射性物質検査にはゲルマニウム半導体検出器やヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレーション検出器が主に用いられています。これらは高精度な検査が可能ですが検査時間がかかるといった短所があります。また多くの場合、食品を粉砕し容器に詰めて測定することが必要でした。本装置は、当社が医用機器や分析計測機器の研究開発・製造で培ったノウハウと最先端技術を生かし、大量の米袋をそのまま高速かつ高精度でスクリーニング検査するという、従来の装置では実現できなかった測定方法を目指して開発を進めています。実証試験で7 袋のサンプルについて、15秒測定をそれぞれ100 回行い、得られた測定値をゲルマニウム半導体検出器にて1500秒で測定した精密測定値と比較したところ、ほぼ一致する結果が得られています。
まずは主食である米を対象とし、米以外の食品に関しては、今後の検討課題としています。
まずは主食である米を対象とし、米以外の食品に関しては、今後の検討課題としています。
【装置の特長】
本装置には下記のような工夫と特長があります。
(1) BGOシンチレータが微小なガンマ線をもれなく検出
(2) 検出器を鉛で遮蔽し、自然環境からの放射線を最小限に
(3) 大量の米袋をそのまま高速・高精度で測定
今後は実証試験で得られた結果をもとにさらに装置の実用化を進め、5月の発売を目指します。
(1) BGOシンチレータが微小なガンマ線をもれなく検出
できるだけ大量の米袋を短時間で測定できるよう、PET装置に用いられるBGOシンチレータと、光電子増倍管を組み合わせた検出器を用いています。BGOシンチレータは密度が高いのが特徴で、セシウムから放出される高エネルギーのガンマ線を効率よく検出します。 |
宇宙線や、自然界にもともと存在するカリウム40などの自然放射線と、地面や土壌など環境中に存在する放射性セシウムから発生する放射線という、2つのバックグラウンド放射線の影響を抑えるため、検出器の周りを鉛で遮蔽しています。 |
ベルトコンベアーに載せた30kgの米袋をそのまま高速・高精度で測定し、セシウムが設定した基準値以下であるかどうかを○×でモニターに表示します。100 Bq/kgを基準としてスクリーニング検査をする場合は、1袋あたり5秒、実用的には、1日8時間の作業で約2000袋以上の検査が可能です。50 Bq/kgを基準とすれば1袋あたり15秒、1日約1200袋以上を検査することができます。 |
今後は実証試験で得られた結果をもとにさらに装置の実用化を進め、5月の発売を目指します。
名称 | 食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ) |
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寸法 | 幅2750 × 奥行1365 × 高さ1805mm |
質量 | 1570kg(本体1470kg+コンベア100kg) |
設置環境 | 使用温度範囲 10〜30℃ 仕様湿度範囲 40〜70%(結露なきこと) バックグラウンド値 設置室内で0.4μSv/h以下 |
検出限界 | 5.0 Bq/kg以下 (225秒測定) |
測定下限値 | 基準値 100 Bq/kgのとき 20 Bq/kg以下(5秒測定) 基準値 50 Bq/kgのとき 10 Bq/kg以下(15秒測定) |
発売 | 2012年5月(予定) |
価格 | 2000万円(予定) |
販売台数 | 未定 |