東京電力福島第1原発事故に伴う除染で、比較的放射線量の低い場所では、住宅の屋根の高圧洗浄や庭の土壌の除去は国の費用負担の対象にならないことが29日、明らかになった。自然界からの被ばくを除く追加被ばく量が年1ミリシーベルト以上の地域のうち、年約5ミリシーベルト以下の地域が該当する。
国は追加被ばく量が年1ミリシーベルト以上の地域を含む8県104市町村を「汚染状況重点調査地域」に指定。市町村は、国の補助金を受けて除染を実施することになっている。
環境省がまとめた要領によると、比較的線量が高い地域と低い地域で補助金の対象作業を分ける。福島県や宮城県の一部など追加被ばく量が年約5ミリシーベルト以上の比較的線量の高い地域では、住宅の屋根の高圧洗浄やブラシ洗浄、庭の表土の除去や上下層の入れ替えを補助対象とする。一方で、線量の低い地域の住宅ではそれらは対象外で、壁面や雨どい、側溝の清掃や汚泥の除去、枝葉の剪定(せんてい)や落ち葉の除去などは補助する。
公共施設なども線量の高低で補助対象が異なる。ただし、学校や公園など子供が長時間生活する場所は、線量が低い地域の除染でも高い地域と同程度の作業を補助対象とする。
環境省は「線量が低い地域で民家の高圧洗浄を行っても効果は小さい。除染は必要で合理的な範囲で行うことが重要」としている。
一方、千葉県流山市はこの日、重点調査地域で初めて除染実施計画を策定した。残りの市町村も、補助金要領を参考に国と協議しながら計画を立て、除染に取り組む。【藤野基文】
毎日新聞 2012年3月1日 東京朝刊
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