首都圏連続不審死:裁判員を選任 過去最長の100日在任

2012年1月5日 21時0分

 首都圏連続不審死事件で三つの殺人罪などに問われている無職、木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判で、さいたま地裁(大熊一之裁判長)は5日、裁判員6人と補充裁判員6人を選任した。在任期間は裁判員裁判で過去最長の100日間。候補者330人のうち、70歳以上▽重い病気▽重要な仕事--などを理由に200人以上の辞退が事前に認められ、この日の出席者は61人。この日も27人の辞退が認められた。

 この日選ばれなかった複数の裁判員候補者によると、裁判員や補充裁判員の性別に大きな偏りはないという。この日、辞退を申し出て認められた、さいたま市内の会社員男性(32)は「期間が長いというのが(辞退の)一番大きな決め手。会社の仕事を考えていく上で今回は辞退した」と説明した。

 一連の事件は物証に乏しい。抽選で外れた埼玉県久喜市の主婦(47)は「裁判員を経験してみたいとの思いもあったが判断は難しいと感じていた。選ばれなくて良かったというのが本音」と漏らした。

 木嶋被告が起訴されているのは埼玉、東京、千葉での3件の殺人を含む10事件。6人の裁判員が一括して審理する。【飼手勇介】

 ◇「結婚詐欺」の位置付けも争点も

 木嶋佳苗被告は3件の殺人罪のほか、死亡した大出嘉之さん(当時41歳)を含む男性6人との結婚話を巡る詐欺罪と同未遂罪でも起訴された。公判では「結婚詐欺」の位置付けも争点となる。

 木嶋被告は大部分の男性とは結婚相手紹介サイトを通じて知り合ったとされ、検察側は(1)サイトを利用し接触(2)結婚の意思があるように装い金をだまし取る(3)返済を免れるため殺害--との構図を描く。「結婚詐欺の延長での殺人」と立証するため、一連の審理では被告が男性らと結婚する意思がなかった点を強調するとみられる。

 その上で、いずれも練炭による一酸化炭素中毒などで3人が死亡した前後に、約180万~1700万円を木嶋被告が受領したり口座から引き出すなどした状況証拠から有罪立証する方針だ。

 一方、弁護側は詐欺の一部成立を認めた上で「男性らとは真剣に結婚を考えていた」と強調、「結婚詐欺の延長での殺人」との検察側構図を否定するとみられる。3人の死亡については「自殺か、事故で死亡した疑いがある」と主張する見通しだ。【平川昌範】

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