2012年1月5日 11時22分 更新:1月5日 11時41分
警察庁は5日、暴力団対策法改正案の概要をまとめた。人命に危害を及ぼす行為を繰り返す恐れのある暴力団を「特定危険指定暴力団」に指定し、その構成員が不当な要求行為をした場合は中止命令などを経ずに直ちに処罰できる「直罰規定」を導入する。企業関係者を狙った襲撃事件を抑止するのが狙いだ。法案を次期通常国会に提出する方針。
特定危険指定暴力団は、暴力団構成員やその依頼を受けた者が、凶器を使用する重大な危害行為を実行し、今後も同様の行為をする恐れがある場合に、都道府県公安委員会が指定する。
指定を受けた暴力団の構成員が、みかじめ料の要求や取引契約の強要など不当な要求行為をすれば、中止命令などの行政処分を経ずに直ちに罰則を適用できるようにする。さらに、構成員がこれらの要求行為をする目的で人に面会を求めたり、つきまとったりする行為を中止命令の対象に加える。
また、拳銃などを使用して対立抗争をしている暴力団を「特定抗争指定暴力団」に指定する制度も設ける。住民が抗争に巻き込まれるのを防ぐのが目的で、構成員が多数で集合することや、抗争相手の居宅周辺をうろつくことに対して直罰規定を設ける。
現行の暴対法で最も重い罰則は「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」だが、改正案では「3年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」に引き上げる。
警察庁は▽暴力団員が営業者同士の争いに介入する「用心棒」業務や債権取り立て業務に従事することの禁止▽暴力団事務所の使用差し止め請求訴訟を暴力追放運動推進センターが住民に代わって行う制度の新設--なども改正案に盛り込む検討をしている。【鮎川耕史】
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