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臨床研修医:医療態勢充実に期待 募集定員充足率、過去最高9割超 /奈良

 医師国家試験の合格者が2年間、厚生労働省が指定する臨床研修病院で地域医療などを学ぶことを義務付ける初期臨床研修制度が導入されて8年。県内の臨床研修病院で今年4月から勤務する研修医の人数が、昨年10月のマッチング時で募集定員の9割を超えて過去最高。全国順位も2位を記録した。救急搬送問題で全国的に注目を浴びた県内の医療態勢だが、県や医療関係者の努力が実を結びつつある。【阿部亮介】

 今年度は募集定員101人に対し希望者が94人で、充足率(マッチング率)は93%。90%代を記録したのは初期臨床研修制度が始まった04年以来初めてだった。

 県内の臨床研修病院は、県立奈良▽市立奈良▽県立三室▽天理よろづ相談所▽近大奈良▽県立医大▽済生会中和▽大和高田市立▽土庫--の9病院。研修先は、研修医と病院の希望を組み合わせて決められる。過去の状況をみると、研修医の7~8割が研修後も臨床研修病院に残るため、病院にとっては研修医を十分に確保できるかが将来の医師不足を防ぐ方策にもなる。

 県によると、募集定員が137人だった03年度は93人で充足率は68%。その後も50~81%で推移し、10年度は募集103人で76人と74%だった。

 特に、県内の中心的な医療機関である県立医大病院で05年度、67人の定員に17人しか集まらず、関係者は危機感を持った。08年から県や各病院の担当医が協力して臨床研修プログラムの充実などについて協議し、研修医確保のための取り組みを始めた。

 具体的には、研修医の希望進路に合わせ、他病院とも協力したきめ細やかなプログラムを用意したほか、大阪や東京の医学生向けの説明会で9病院が合同でブースを出展。研修医を対象とした意見交換会を開くなど、研修期間中のフォローも手厚くした。昨年4月には県と各病院で奈良臨床研修協議会を設立し、さらに連携を強化した。

 県は県立奈良病院の移転・新築なども進めており、県医師・看護師確保対策室の杉山孝室長は「病院整備に力を入れていることも影響していると思う」と話す。また、協議会代表の赤井靖宏・県立医大准教授も「県と各病院が一緒に取り組むようになって、病院間での有意義な切磋琢磨が始まっている。県全体の医療を考える機運も出てきた」と評価する。

 県は08年から、県立医大の卒業生が県内で勤務すれば貸与された奨学金の返済を免除する「緊急医師確保特別入試」を実施。その1期生が2年後に卒業する。赤井准教授は「この学生をいかに志の高い医師に育てるかが大事になる」と話している。

毎日新聞 2012年3月4日 地方版

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