名古屋市の河村たかし市長の南京虐殺否定発言を受け、中国・南京で3月2日に予定されていたロサンゼルス五輪金メダリストの山下泰裕氏らを招いた柔道の国際交流や式典が27日、中止になった。発言が日中交流に影響したのが明らかになったのは初めて。
中止になったのは、山下氏らが日中交流を進めるために協力し、日本外務省が資金を出して整備した日中友好柔道館の2周年記念式典など。関係者によると、山下氏や日本の学生柔道家ら約30人が南京入りし、柔道教室や山下氏の講演会などを開く予定だった。
しかし、河村市長の発言がきっかけで南京市体育当局が中止を打診。これを受け、山下氏ら一行が南京入りを断念した。市当局者は「市民の怒りが万が一にも交流に悪影響を及ぼすことを心配した」と説明。昨年から準備を進めてきた関係者は「多くの人が期待していた交流が、1人の市長の発言でつぶれて本当に残念。(河村市長は)各方面にどんな影響が及ぶか考えて発言して欲しい」と話した。(上海=奥寺淳)