東日本大震災で被災した気仙沼市を支援するため、広島県江田島市が「大島汽船」(気仙沼市)に無償貸与していたカーフェリー「ドリームのうみ」(397トン、定員300人、乗用車20台)が29日、務めを終えた。同汽船のフェリーが津波で陸に打ち上げられるなどしたため、江田島市は航路廃止に伴い売却予定だった「のうみ」を貸し出し、昨年4月27日から気仙沼港と離島の大島を結ぶ航路に定期就航していた。
同汽船によると、「のうみ」は1日8往復し、今年1月末までに約23万人、5万台を運んだ。震災前は約3300人が暮らした大島は津波の被害で支援物資の運搬も容易でなかったが、「のうみ」の就航で復旧資材や物資などの搬入が進み、島民の通勤・通学などの足としても使われた。
現在は港の待合室に置かれた布(1メートル四方)に、利用客が感謝のメッセージを書き込んでいるという。「のうみ」は3月2日に気仙沼市を離れ、広島県尾道市で修繕された後、江田島市に返還されて再び客船として使われる予定。同汽船の職員は「復興復旧の一翼を担ってくれた。どんなに感謝してもし切れない。職員全員同じ気持ちです」と語った。【寺岡俊】
毎日新聞 2012年3月1日 地方版
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