春場所の新弟子検査が3日、大阪市内の病院で行われ、第2検査と合わせて34人が体格検査をパスした。その中でひときわ目を引く巨体の持ち主が、出羽海部屋に入門した金城周汰(18)=栃木県出身。身長190センチ、体重179キロは受検者の中でトップ。しかし、相撲経験は全くない元高校球児。小学校から高校まで白球を追い続けた元球児が、新たな夢に挑む。
就職場所とも呼ばれる春場所前の検査では、現行制度となった1973年以降で史上最少の34人しか受検しなかった今回の新弟子検査。だが、角界の“宝”は存在した。190センチ、179キロの巨体で検査に臨んだ金城だ。
相撲の経験はないが、身体能力は抜群だ。栃木・明治南小3年から野球を始め、明治中では宇川地区で優勝し、壬生高まで野球一筋。「夢はプロ野球選手になること」だったという少年に、転機は突然訪れた。
昨年の春季栃木大会。宇都宮工戦に出場した金城は、対戦相手である宇都宮工OBで出羽海部屋後援会の関係者にスカウトされた。「進学し、資格を取って福祉関係の仕事がしたかった」という金城は迷ったが、「大学は後でも行ける。相撲は若い時しかできないから」と角界への挑戦を決心した。
一日5食は当たり前。小6で174センチ、中3で186センチに成長。体重は現在の179キロが最高だが、「身長はまだ伸びてるんで」。元野球少年の出世株には、大関稀勢の里らの例がある。相撲未経験が逆に、これからの伸びしろを感じさせる。 (岸本隆)
▼金城周汰(きんじょう・しゅうた) 1993(平成5)年12月14日、栃木県上三川町生まれの18歳。小3から高校まで野球部に所属し、高校では一塁手。高校通算本塁打は4本だが、最長飛距離は130メートル。好物はシュークリームなどの甘味。家族は祖父母、両親、弟。「弟はやせ形です」という。
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