2012年3月3日03時00分
野田政権が2日で発足半年を迎えた。鳩山、菅両政権が積み残した政策課題の解決に期待が集まったが、支持率はじわじわ低下。政権の推進力も衰え気味だ。課題をこなせず、先送りしている印象は否めない。
野田佳彦首相は就任時、最重要課題として東日本大震災の復旧復興、原発事故対策、経済再生を掲げた。だが、がれきの処理は進んでおらず、原発の再稼働でも、地元が求める安全基準の調整は難航している。
過去2代の政権が、当時の首相の言動が引き金となり不安定化した反省から、野田首相は「黙々と泥くさく仕事をしたなかで政治を前進させる」としていた。だが、発足当初は5割超だった内閣支持率は2割台に。党内に異論を抱える様々な課題で反対派に配慮せざるを得なくなっている。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題では昨年11月、参加反対派に押され、「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」との表現でお茶を濁し、正式な参加表明を見送った。
首相が意気込む消費増税でも与党内の抵抗を回避しようと、昨年末に党内で了承された素案をそのまま大綱として2月に閣議決定。与党内の増税法案反対派は法案提出を阻もうと手ぐすねを引いており、月末までの法案提出時に「山場」を先送りしたに過ぎない。
「一球入魂のつもりで毎日毎日精いっぱい働いているつもりだ。気づいてみたら半年になっていた」。先月24日の内閣記者会インタビューで振り返った首相だが、「内閣不支持」率は5割近い。藤村修官房長官は2日の会見で「着実に難題を解決していくことに尽きる。何か秘策があるということではない」と述べるしかなかった。(南彰)