本日の日経朝刊マネー&インベスト面に、金貨付き復興応援国債についての評価記事が出ている。
そこで、金の専門家の立場から、投資商品として見た場合の損得を考えてみたい。
結論から言うと、この新型国債を買って金の価格上昇でもうけようとするのは無理筋である。先述の日経記事の中のシミュレーションによると、金利は現在のまま、金の価格上昇で金利差を補うには、金価格が1グラム=1万2884円まで急騰することが条件となる。これは金価格現水準の約3倍。シミュレーション期間の3年を想定すると、これはまず達成不可能。円建て金価格について見れば、5年持って、ベストのシナリオで1オンス=3000ドル、1グラム=7500円(現在のドル円相場を想定した場合)。しかもその実現可能性は20%程度か。
もしオマケの金貨でもうけられるとすれば、
(1)売れ行きが絶好調で、鋳造枚数を上回り、抽選販売になる場合。
(2)売れ行きが絶不調に転じ、結果的に、発行枚数が少なくなる場合。
これらのケースでは金価格の水準に関わらず、収集用の記念金貨としての希少価値が予想外に高まる可能性はある。
およそ、金貨には2種類ある。
まず、売れればいくらでも造幣局が鋳造して販売するタイプ。ここでは金貨としての希少価値は無い。金貨に含有される純金量(例えば1オンス=31.1035グラム)の価値(販売当日の金価格)により販売価格が決まる。純粋な金投資用の金貨で、業界用語では「地金型金貨」と称する。一番売れているのがオーストリア造幣局発行のウイーン金貨。次いで、カナダ王室造幣局発行のメープルリーフ金貨だ。