*** 別姓訴訟を支える会通信バックナンバー ***

第14号 2012年2月22日発行

【第4回口頭弁論の報告】
【提訴から1年、温かい支援をありがとうございます。】
【行政訴訟の上告理由】
【国賠訴訟第4回口頭弁論、傍聴感想】
【行政事件地裁判決の評釈】
【次の期日】

【第4回口頭弁論の報告】         弁護団 折井純
○原告から証人申請と当事者の尋問申請
 第4回口頭弁論期日では、まず、被告(国)が第2準備書面(支え る会のサイトでご覧いただけます)を陳述し、書証(乙20号証、2 1号証)と証拠説明書を提出しました。
 これに対し、原告は、今後の予定として、女性差別撤廃委員会委員 の林陽子弁護士の陳述書を提出し、証人として申請すること、新たに 立命館大学の二宮周平教授(民法)を証人として申請すること、また、 原告本人の尋問も申請することを述べました。
さらに、学者の意見書として、早稲田大学の戸波江二教授(憲法)の 意見書を提出する予定であることも述べました。
   証人尋問は、証人が法廷に出てきて、裁判官や当事者、傍聴人の前 で自ら認識した事実などを証言します。証人尋問をするためには、ま ず当事者が証人尋問の申し出をします。これを受けて、裁判所が証人 尋問をすると決めた場合に、はじめて尋問が実施されることになりま す。
 当事者(原告本人)の尋問の手続きも、基本的に証人尋問の手続き と同じです。

 証人尋問の申出→裁判所による採否の決定→証人尋問の実施

 今回は、証人及び原告本人の尋問の申し出をする予定であることは 伝えましたが、実際に申し出をするのは、次回の予定です。
 尋問は、証人や原告本人の生の声を裁判官に聞いてもらいじっくり 検討してもらうことができる貴重な機会です。裁判所には、ぜひ尋問 を実施していただきたいと思います。
 尋問は裁判の大きな山場です。尋問が終わると、第1審の裁判手続 も終結の方向に向かっていきます。

○被告から、議論のかみ合わない反論
 今回陳述された被告の第2準備書面では、国家賠償法1条1項の違 法性、憲法24条、憲法13条、及び、女性差別撤廃条約に関する原 告の主張に対して、被告が反論を述べています。原告と被告の議論が かみ合っていないところがありますが、この第2準備書面に対しても、 反論をしていく予定です。

○大勢の傍聴のお陰で次回も大法廷
 今回、大勢の方に傍聴に来ていただき、裁判官に傍聴人の熱い視線 が伝わったようで、次回も大きな法廷で行われることになりました。 次回は、5月9日(水)午後4時から103号法廷です。次回は、以 前のように廊下ではない場所での報告会をし、傍聴に来てくださる方 どうしの交流がもっとできるよう工夫してみたいと思います。皆様の 応援が原告及び弁護団のエネルギーになりますので、引き続きご支援 くださいますようお願いいたします。


第13号 2011年1月21日発行

【国賠訴訟第4回口頭弁論 2月8日】
【傍聴は直接法廷へ 法廷後に、報告会実施】
【弁護団による法律解説「違憲審査基準」について】
【国賠訴訟第3回口頭弁論、傍聴感想】
《事務局から》
【行政訴訟、上告 12月6日】

【国賠訴訟第4回口頭弁論 2月8日 被告の反論、提出へ】         弁護団 折井純
 2月8日午後4時から、東京地方裁判所(1階104号法廷)で、国 家賠償請求訴訟の第4回口頭弁論期日が開かれます。
 昨年12月14日に開かれた第3回口頭弁論期日で、原告は準備書面 (3)と準備書面(4)を提出しました。
 準備書面(3)では、女性差別撤廃条約を締結した結果、国は女性に 対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止す るためのすべての適当な措置(立法を含む)をとる義務を負い(同条約 2条)、同条約16条1項(b)及び(g)に違反する民法750条を 改廃する義務を負うが、その改廃を怠ってきた立法不作により生じた損 害について、原告らは国家賠償請求を求めることができる、という主張 をしています。
 準備書面(4)では、民法750条が婚姻の自由(憲法24条)と氏 の変更を強制されない自由(憲法13条)を制約するものであり、厳格 な審査基準を用いて憲法適合性を審査すべきであり、この審査基準によ ると、民法750条の違憲性は明白であることを主張しています。 この原告の準備書面(3)(4)に対し、被告は今回反論を提出する予 定です。
 口頭弁論も佳境に入ってきました。今回も傍聴席のたくさんある大き な法廷で行われます。前回は傍聴に来てくださった方が少なかったので すが、今回はぜひ多くの皆様に傍聴に来ていただき、応援していただき たく、お願いいたします。


第12号 2011年12月26日発行

【国賠訴訟第3回口頭弁論 12月14日】
【国賠訴訟第3回口頭弁論、準備書面】
【言葉の戦いに備える弁護団】
【傍聴の感想】
【二つの意見書を提出】
【行政訴訟、上告 12月6日】
【連載 弁護団による法律解説 「女性差別撤廃条約違反」】
【2011年 提起と法廷の記録】
【今後の期日予定】

【国賠訴訟第3回口頭弁論、準備書面】  弁護団 竪 十萌子
○2つの準備書面
 第3回口頭弁論期日では、原告から準備書面(3)と(4)を提出し ました。どちらの書面も、長期間、調査と議論をし尽くして書き上げた 力作です。

   ○準備書面(3)女性差別撤廃条約について
 準備書面(3)は、条約について記載しました。国は、女性差別撤廃 条約を締結した結果、女性に対する差別となる既存の法律、規則、慣習 等を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む)を取 る義務を負っているのであるから、同条約16条1項(b)及び(g) に違反する民法750条を改廃する義務があるにもかかわらず、民法7 50条を改廃していない。したがって、国は民法750条の改廃を怠っ てきた立法不作為により生じた損害について原告らは国家賠償を求める ことができる、という主張を展開しました。日本の裁判において条約に 基づいて主張することは困難なのですが、条約チームが説得的にかつわ かりやすくまとめました。

○準備書面(4)憲法24条について
 準備書面(4)は@憲法24条に裁判規範性が認められ、「婚姻の自 由」は憲法24条1項によって保障されること。A氏は個人の人格の象 徴であり、人格権の一つとして「氏の変更を強制されない自由」が憲法 13条によって保障されていること。B民法750条は、上記「婚姻の 自由」と「氏の変更を強制されない自由」という憲法上の権利を制約す るものであり、違憲審査基準は厳格にすべきであるところ、審査基準に 照らすと違憲であること。C仮に民法750条制定時には合憲であった としても、その後の国内的・国際的環境等の変化等から、現在において は違憲であること、という主張を展開しました。様々な判例や国内的環 境の変化のデータ、学者の主張等も盛り込み、61ページにもなる大作 となりました。
 今回の書面で、基本的には原告の主張はし尽くしたことになります。 次回は、今回の原告書面に対して、被告が反論をしてきます。きちんと 正面から反論してくるか、ほとんど正面からは反論してこないか、楽し みなところです。

○いよいよ佳境、傍聴をお願いします
 次回、被告の反論を見て、必要があれば、原告は次々回に反論をしま す。また、次々回以降、尋問の期日が入ります。いよいよ佳境に入って きましたので、ぜひとも傍聴にお越しいただければと思います。


第11号 2011年12月1日発行

【行政訴訟の控訴審判決で、行政訴訟はできないと再度判断 11月24日】
【高裁判決を受けて 「議論の場が持てたことはよかった」】
【高裁の判決を傍聴して】
【女性差別撤廃委員会フォローアップ審査 民法改正はB評価】
【今後の期日予定】

【行政訴訟の控訴審判決で、行政訴訟はできないと再度判断 11月24日】  弁護団 小島延夫
 夫婦別姓で婚姻届を出したところ、それが受理されなかったので、不 受理の違法性を争うために、不受理処分の取消しを求める行政訴訟を提 起している件で、東京高等裁判所(青柳馨裁判長)は、2011年11 月24日、このような訴えはできないとした、第一審の東京地方裁判所 に引き続き、訴えを却下するとの判断を示し、控訴を棄却しました。東 京高裁は、戸籍の受理は形式的審査であり、公開の法廷での審査を認め なくとも憲法違反とならないとしました。同判決は、末尾で、夫婦同一 姓を定めている民法750条を違憲とすると、婚姻制度や戸籍制度全般 に影響が及ぶので、立法によることなく、裁判所が是正することはでき ないと述べており、この点が今回の判断の実質的な理由のようです。
 しかし、登記手続のように、形式的審査でも訴訟できるのは広く認め られており、東京高裁の判断には理由がありません。そもそも夫婦別姓 のような重要な問題について、国家賠償という形態でなく、直接に、公 開の法廷で争う手段がなければなりません。最高裁も、法律上の実体的 権利義務自体につき争がある場合には公開の法廷における審理が保障さ れるべきとしています(憲法32条、82条)。これからは、最高裁に 上告し、最高裁の判断を求めることになります。


第10号 2011年11月16日発行

【行政訴訟 11月24日に高裁判決、傍聴をお願いします】
【弁護団による法律解説 「婚姻の自由」】
【裁判前に国会ロビー】
【今後の期日予定】

【弁護団による法律解説 「婚姻の自由」】     弁護団 竹下博將
1 「婚姻の自由」とは
 婚姻は、個人の私生活上の人生を計画し、実行するという家族形成の 最も基本的な場面ですので、いつ誰とどのような場合に結婚するかにつ いては当事者の自由な意思によるべきです。
 このように、当事者以外の誰からの干渉も受けることなく、当事者の 意思だけで婚姻する自由・権利を「婚姻の自由」といいます。

2 明治憲法・明治民法と「婚姻の自由」
 明治憲法には婚姻に関する規定はなく、明治民法においては、婚姻は 「家」と「家」との結びつきで、戸主の同意がなければ婚姻できないと され、「婚姻の自由」は保障されていませんでした。

3 日本国憲法と「婚姻の自由」
 「婚姻の自由」については、憲法24条1項が、「婚姻は、両性の合 意のみに基づいて成立」すると具体的に規定していますので、明文で保 障されていると考えています。この点に関する最高裁判所の判例はあり ませんが、昭和40年代、女性について結婚した場合に退職することと 定められた結婚退職制度の有効性が争われた裁判例において、憲法24 条に基づく人権であることが繰り返し確認されています(結婚退職制度 は無効と判断されています。)。
 また、「婚姻の自由」は、個人尊重の原理を宣言した13条の幸福追 求権にも由来する重要な人権です。13条は、包括的な人権としての幸 福追求権を定めていて、家族形成に関する人格的自律権・自己決定権に ついても保障していると考えられますが、婚姻は家族形成の最も基本的 な内容として、24条1項によって具体化されていると考えられるので す。

4「婚姻の自由」に対する制約
 「婚姻の自由」が保障されても、当事者の合意以外に一切の制約がな いというわけではありません。
 例えば、婚姻は、民法上の権利義務関係や税制などの公法上の権利義 務関係に重大な影響を生じさせるものですので、その手続や公示制度が 整備されることが不可欠です。その限りでは「婚姻の自由」も制約され る場合があります。
 例えば、民法739条は、婚姻について届出制としています。合意だ けでなく届出が必要という点で「婚姻の自由」は制約されていますが、 これ自体は制度上やむを得ない制約だと考えられています。

5 民法750条と「婚姻の自由」に対する侵害
 戸籍法74条が、婚姻届に「夫婦が称する氏」を記載することを求め ていますので、この記載がなければ、婚姻届は受理されず、結婚できま せん。民法750条が夫婦同氏制を定め、これを受けて戸籍法74条が 婚姻届の記載事項とすることで、法律上、夫婦は同氏としなければ結婚 することができないのです。実際、法律上の婚姻を断念して事実婚を選 択する夫婦も少なくありません。
 夫婦同氏制は、婚姻を求める当事者に対し、「婚姻の自由」と憲法 13条が保障する「氏の変更を強制されない自由」の二者択一を迫るも ので、「婚姻の自由」に対しても「氏の変更を強制されない自由」に対 しても重大な制約ですが、夫婦同氏制の目的の正当性・必要不可欠性や その目的を達成する手段としての合理性・相当性等は全く論証されてき ませんでした。本訴訟においても、国は、夫婦同氏制の目的を現時点で は明らかにしていません。
 本訴訟においては、目的の正当性も手段の合理性・相当性も明らかで ない夫婦同氏制は、「婚姻の自由」に対する許されない制約(すなわち、 侵害)だと主張し、夫婦同氏制を改正してこなかった国に対して損害賠 償を求めています。

6 今後の展開
 弁護団としては、これまでの学説などを踏まえて、夫婦同氏制の目的 の正当性と手段の相当性について検討し、それぞれ主張していきます。


第9号 2011年10月15日発行

【国賠訴訟 第2回口頭弁論のご報告】
【参加者全員の、訴訟に寄せる思いを交流(国賠訴訟 第2回口頭弁論 交流会)】
【裁判前に国会ロビー】
【みなさんの思いを知り、大変励まされました】
【行政訴訟が結審、判決は11月24日に(第2回口頭弁論のご報告)】
【みなさんから勇気をもらいました】
【弁護団自己紹介 第5弾】

【参加者全員の、訴訟に寄せる思いを交流(国賠訴訟 第2回口頭弁論 交流会)】     大澤容子
 報告・交流会は5時から衆議院第二議員会館で開き、原告・弁護団・傍聴者、議員、報道関係者など50名の参加がありました。
 民主党の中村哲治参議院議員は、「法制審答申が出てから15年たつが、国会では歩みが遅い。訴訟と同時に、地元の国会議員にメールやファックスを送るのが重要だ」と国会議員に働きかけを呼びかけました。
 婚外子の住民票と戸籍の続柄差別記載の撤廃を求めて闘った田中須美子さんは「17年半裁判を闘い、差別記載撤廃を勝ち取った。大阪高裁違憲決定のニュースに感動した。国会への要請行動や最高裁に違憲判決を求めた運動展開ができたらいい」と今後の活動への抱負を語りました。
 また、子どもが生まれるたびに婚姻届と離婚届を出してきた方が複数、事実婚で臨月を迎え、自分も行政訴訟を起こそうかと検討している弁護、夫婦別姓をテーマに討論の授業を企画している高校の教員、ジェンダーとセクシュアリティの研究をしている大学生、25年前、30年前からという長い年月別姓の法制化を求めてきた方も複数ありました。
弁護団の中川武隆さんは「今日は熱い思いをたくさん聞いて、元気が湧きました」と感想に述べ、参加者一同の気持ちを代弁しました。
最後に支える会の坂本洋子さんが「立法府にいる国会議員の一人一人の不作為を問いたい。みなさんと一緒に、全員が訴訟で闘う思いでつながって広げたい」と力強く述べました。


第8号 2011年9月19日発行

【間もなく裁判期日、傍聴をお願いします】
【9月27日開廷の行政訴訟第2回口頭弁論で争われること】
【10月5日開廷の国賠訴訟第2回口頭弁論で争われること】
【衆議院本会議で社民党の重野議員が民法改正を質問 9月15日】
【2010年人口動態 夫の氏96.3% 婚外子割合2.1% 9月1日】
【弁護団、またパワーアップ】

【10月5日開廷の国賠訴訟第2回口頭弁論で争われること】          弁護団 折井純
 10月5日午後4時から、東京地方裁判所(1階103号法廷)で、 別姓訴訟の国家賠償請求訴訟の第2回口頭弁論期日が開かれます。
 5月25日に開かれた第1回口頭弁論期日で、原告は、夫婦同氏制を 定める民法750条が憲法13条、憲法24条1項、2項及び女性差別 撤廃条約2条、16条1項(b)(g)に違反するとしたうえで、国が 民法750条を改正し夫婦同氏に加えて夫婦別姓という選択肢を認める 立法を行わないことは、国家賠償法1条1項の違法な行為に該当すると 主張しました。これに対し、被告は、民法750条は違憲ではなく、国 家賠償法1条1項の違法性も認められないと反論しました。ただし、国 際法(条約)が国家賠償法の適用上の違法を基礎づけることができるか という点については、後日に主張するとしました。
 第2回口頭弁論期日では、原告は、「被告のたてた国賠の違法性の基 準は従前の最高裁判所判例の立場とは異なる独自のものである」等の再 反論をします。被告からは、「条約を含む国際法は直接個人の権利義務 を規律するものではない」等の主張がなされます(既に準備書面が届い ています)。これに対する原告の反論は、第3回に行う予定です。
   第2回には、原告本人らの陳述書も提出する予定です。陳述書とは、 訴訟当事者や関係者がこれまでの経緯や状況などをまとめて記載した書 面で、証拠の1つとされています。
 次回も、大きな法廷で行われますので、皆様、ぜひ傍聴に来ていただ き、ご支援くださいますようお願いいたします。


第7号 2011年8月31日発行

【女性差別撤廃委員会に政府とNGOがレポート提出】
【弁護団による法律解説 第3回 「憲法13条」】
【総務省が当選証書に通称使用の付記を認める見解 8月26日】
【弁護団自己紹介 第4弾】
【支援要請活動の報告】
【今後の期日予定】

【女性差別撤廃委員会に政府とNGOがレポート提出】          坂本洋子
 国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は2009年8月、度々の勧告にもかかわらず改善されない民法改正とポジティブ・アクションの二つをフォローアップ項目とし、どのような措置を講じたか2年以内に報告するよう日本政府に勧告しました。その報告期限は今年8月7日とされていました。
 CEDAWに政府コメントを送った日本政府は8月8日、ウェブサイトで全文を公開しました。その主な内容は、@2009年9月に最高裁が婚外子相続差別規定を違憲としなかったものの、規定は違憲の疑いが極めて強いとして立法府に早期の法改正を求めた、A2010年の通常国会で民法改正案を提出予定としたが、提出しなかった、B男女共同参画会議が2010年7月に答申した第3次男女共同参画基本計画に「民法改正が必要である」と答申し、閣議決定された基本計画は「引き続き検討する」とした。その基本計画はホームページやパンフレットで広く周知している、などです。
 一方、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)や日本弁護士連合会もCEDAWにNGOレポートを送り、それぞれ公開しましています。JNNCのレポートでは、最高裁で違憲判断の可能性が高かった婚外子相続差別訴訟が却下されて以降、政府や立法府がこの問題を放置していることを批判し、民法改正についてもはや「検討を進める」段階ではなく、速やかに法改正すべきである、と厳しく指摘しています。
   政府コメントとNGOレポートの全文は、それぞれのウェブサイトでご覧になれます。
http://www.gender.go.jp/teppai/6th/cedaw_co_followup_j.pdf
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/d ata/woman_report_followup.pdf


第6号 2011年7月13日発行

【行政訴訟第1回口頭弁論の報告 7月7日】 弁護団 橘高真佐美
【行政訴訟第1回口頭弁論 原告感想】
【弁護団自己紹介 第3弾】
【国賠訴訟第1回口頭弁論(5月26日)傍聴の感想 第2弾】
【今後の期日予定】
【みなさまへ、訴訟を支えるカンパのお願い】

【行政訴訟第1回口頭弁論の報告 7月7日】 弁護団 橘高真佐美
 7月7日午後1時30分から東京高等裁判所(817号法廷)で加山 恵美さん・渡辺二夫さん夫婦が訴えた婚姻届の不受理処分の取消請求 (行政訴訟)の第1回口頭弁論期日(控訴審)が、開かれました。今回 も、たくさんの方が傍聴に来てくださり、高等裁判所の裁判官の方たち にも、関心の高さが伝わったと思います。
 今回の夫婦別姓訴訟では、国家賠償(慰謝料)請求と併せて、この婚 姻届不受理処分取消請求も提訴しました。しかし、東京地方裁判所は、 両者を分離し、婚姻届不受理処分取消請求については、行政訴訟ではな く、戸籍法に基づき家庭裁判所で家事審判手続として不服申立をすべき であるとして、口頭弁論期日を開催することもなく、訴えを却下しまし た。加山さんと渡辺さんは、この判決を不服として、東京高等裁判所に 控訴しました。
 第一審の判決が述べるように、家庭裁判所で家事審判手続として不服 申立をしても、今回のような口頭弁論期日は開かれず、非公開の審判期 日が開かれるか否かは裁判官次第(これまでの別姓の婚姻届不受理に関 する家庭裁判所での事件では開かれていない)、婚姻届を受理しなかっ た荒川区は、審判の相手方にはならず(事件の当事者は申立人のみ)、 裁判所が申立人の主張を判断するのみで、裁判所が双方の主張の当否を 吟味して判断するのではなく、後見的判断をする(審判とはそういう手 続き)はずの裁判所が、「事件で敵対する相手方」のような印象になる 場合があります。
審判廷が開かれても、申立人以外の人が傍聴することはできず、時に は、一度も裁判官に会わないまま、密室の中で裁判所の判断が行われる ことになります。弁護団としては、婚姻届不受理処分は、婚姻の成立と いう権利義務の存否に関わるものですので、公開法廷で、主張立証の機 会が保障される訴訟手続で争うことができなければ、裁判の公開を保障 する憲法82条に反することになると考えています。  ところで、行政に対する取消訴訟をするためには、行政の行為につい て直接国民の権利義務を形成したり範囲を確定したりすることが法律上 認められている「処分性」が必要とされます。
裁判長は、時代が変われば、「処分性」の概念も広がると取消訴訟が できるという判断の可能性を示す一方で、現在法律で認められている家 庭裁判所以外の救済方法がないことが憲法違反に当たるということであ っても、それを救済するために立法府ではない裁判所が新たに法律を作 るかのような法律の解釈をできるだろうかと疑問を投げかけました。ま た、これから国家賠償訴訟が続き、別姓による婚姻ができないことの違 憲性を問おうとしている中で、この取消訴訟で、第一審で口頭弁論期日 も開かず全く実質的な審理をしていないのに、高等裁判所で、いきなり 権利について判断すべきであろうかという問題意識を持っていることも 示しました。
 弁護団としては、これから学者の方に意見書を書いていただき、それ らの意見を踏まえ、取消訴訟ができるという主張を補強する予定です。 裁判所も弁護団の希望を受け、9月27日午前10時30分に次回の口 頭弁論の期日を指定しました。次回が高等裁判所での最後の弁論期日と なる予定です。
 高裁では、口頭弁論期日が開かれ、主張を慎重にたたかわせようとし ていること、1回で結審という部も少なくない中、2回目期日までに、 約3ヶ月という良い書面を作成するために十分な時間を与えてくれたこ と、など、裁判所は、本件の内容に添う対応をしてくれたと思います。
 なお、荒川区は、取消訴訟は許されないとして、これ以上の反論は行 うつもりがないということが確認されました。
 婚姻届不受理処分取消請求の第2回口頭弁論期日(控訴審)も、ぜひ 傍聴にきていただき、引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願い申し 上げます。


第5号 2011年6月28日発行

【行政訴訟第1回口頭弁論、7月7日に開廷】 弁護団 竹下博將
【弁護団による法律解説 夫婦別姓と違憲訴訟の方法】 榊原富士子
【弁護団自己紹介 第2弾】
【国賠訴訟第1回口頭弁論 傍聴の感想記】
【今後の期日予定】

【行政訴訟第1回口頭弁論、7月7日に開廷】 弁護団 竹下博將
   時間:13時30分〜 
   場所:東京高裁817号法廷

 加山恵美さん・渡辺二夫さん夫婦が訴えた婚姻届の不受理処分の取消請 求(行政訴訟)の第1回口頭弁論期日(控訴審)が、東京高等裁判所(8 階817号法廷)で7月7日13時30分に開かれます。
 2月14日に提起した夫婦別姓訴訟では、国家賠償(慰謝料)請求と併 せて、この婚姻届不受理処分取消請求も提訴しましたが、東京地方裁判所 は、両者を分離し、婚姻届不受理処分取消請求については、2月24日、 訴えを却下しましたので、この判決を不服として、不服申立(控訴)した のです。東京地方裁判所は、婚姻届の不受理処分を争う場合、行政訴訟で はなく、戸籍法に基づき家庭裁判所で家事審判手続として不服申立をすべ きであるとして、訴えを却下しました。
 しかし、婚姻届不受理処分取消請求は、婚姻の成立という権利義務の存 否の判断を求めるものですので、公開法廷で、主張立証の機会が保障され る訴訟手続で争うことができなければ、裁判の公開を保障する憲法82条 に反することになります。
 婚姻届不受理処分取消請求の第1回口頭弁論期日(控訴審)では、5月 25日に東京地方裁判所で開かれた国家賠償請求の第1回口頭弁論期日と は異なり、訴状や控訴理由書の陳述は予定されていませんが、審理手続の 進行を見守っていただきたく、どうか傍聴して応援してください。


第4号 2011年6月3日発行

【第1回口頭弁論で原告側陳述】5月25日  報告 弁護団 川見未華
【原告側陳述ダイジェスト】
【院内にて報告&交流会】
【次の期日決定】

【第1回口頭弁論で原告側陳述】5月25日     別姓訴訟を支える会通信第4号より(抜粋)
                                               報告 弁護団 川見未華
 5月25日(水)午後4時から、東京地方裁判所104号法廷において、別姓訴訟の第 1回口頭弁論期日が開かれました。104号法廷は、東京地方裁判所の中でも最大級 の広さの法廷です。
 当日は、予想どおり多くの傍聴希望者に集まっていただきました。
 5月25日の第1回口頭弁論期日では、まず、原告弁護団による15分間の訴状の陳述 が、弁護団員のうち若手5名が分担 をして行いました。 訴状陳述の後は、被告の答弁書の陳述が行われました。さらに その後、原告及び被告が提出している証拠の取調べが行われました。
 最後に、今後の訴訟の進行についての確認が行われ、次回期日は 10月5日(水)午 後4時(103号法廷)、次々回期日は12月14日(水)午前 10時(103号法廷)に行われ ることになりました。
 次回期日までの間に、原告は被告が提出した答弁書に対する反論書面及び原告の皆 さんの陳述書を、被告は追加の主張書面を提出することになっています。私たち弁護 団としては、この期間を最大限に利用して、次回期日の準備に全力をあげていきたい と思います!
 皆様におかれましては、次回以降もぜひ傍聴にきていただき、引き続きのご支援 を、どうぞよろしくお願い申し上げます。    


第3号 2011年5月3日発行

初回期日決定 5月25日(水)16時〜、報告及び交流会 同日17時〜
【弁護団による訴訟解説】
弁護団、1名増えてさらに強力に
弁護団による自己紹介(第1弾)
支える会会員からの応援メッセージ

【弁護団による訴訟解説】
婚姻届の不受理処分の取消請求(行政訴訟)
 行政訴訟の専門家である小島延夫さんに解説していただきます。
 現在の民法では、夫婦別姓を認めていないため、夫婦別姓の婚姻届は受 理されません(不受理となります)。そこで、今回、国家賠償請求以外に、 婚姻届の不受理処分の取消請求(行政訴訟)も、東京地裁に提起しました。  ところが、東京地裁は、この訴えが不適法であるとして却下しました。 その理由とするところは、戸籍法上、戸籍についての処分については、家 庭裁判所に不服申立することとし、審判手続で決定すべきとされているか らということでした。
しかし、家庭裁判所の審判手続は、非公開の手続で、傍聴などはできませんし、関係者が意見を陳述する機会も任意でしかなく、夫婦別姓制度が憲 法や条約に違反するかどうかといった点について、専門家の証言をする機 会が保障されていません。
他方、憲法82条は公開の法廷での裁判を保障しています。最高裁判所も 「法律上の実体的権利義務自体につき争があり、これを確定する場合には、 公開の法廷における対審及び判決によるべき」としています。家庭裁判所 の審判は、権利義務自体の争いについてのものでないから合憲だとしてい ます。したがって、憲法上、法律上の実体的権利義務についての争いにつ いては、家庭裁判所の審判ではなく、公開の法廷での裁判である「訴訟」 によらなければならないことになります。
 今回の婚姻届が受理されるかどうかは、婚姻が成立するかどうかという、 まさに、法律上の実体的権利義務自体についての争いです。また、専門家 の証言も必要です。したがって、婚姻届が受理されるかどうかについての 争いについては、公開の法廷での審理及び判決によらなければならず、家 庭裁判所の審判手続では憲法上不十分ということになります。
 控訴審での主張の要点は、以上のように、公開の法廷での審理と判決が 保障されないと憲法82条に違反するという点が基本です。他に、地裁では、 婚姻の成否は判決によって定まるわけではないともしていました。そこで、 その解釈が誤りであることについて、取消訴訟の判決効・準法律行為的行 政行為としての婚姻届の受理の法的意味についても説明しました。  


第2号 2011年3月3日発行

初回期日決定5月25日(水)
訴訟の一部に却下の判決2月24日、東京高裁に控訴3月3日
原告の加山恵美さん「耳を疑う展開に、ただただ驚きました!」
別姓訴訟を支える会・富山」発足と報告集会

【訴訟の一部に却下の判決 2月24日、東京高裁に控訴 3月3日】
婚姻届不受理処分を争う行政訴訟
 加山恵美さん・渡辺二夫さん夫婦が訴えた婚姻届の不受理処分の取り消 し請求(行政訴訟)が、2月24日、却下されました。
2月14日には、この行政訴訟と、全員による国に対する慰謝料請求(国 家賠償法に基づく民事訴訟)を併合して提訴しましたが、東京地方裁判所 (八木一洋裁判長)は2つを分離し、前者のみ却下、後者は行政部でする 必要がないとして、一般部である同地裁民事24部へ事件を移しました。 前者の婚姻届の不受理処分を争う裁判については、行政訴訟でなく、戸籍 法に基づき家庭裁判所に申し立てるべきというのが、裁判所の却下の理由 です。(中略)
   原告側は、判決を不服として3月3日、東京高等裁判所に控訴しました。  損害賠償請求の方は、これから、民事24部で本格的に裁判が始まりま す。ご支援よろしくお願いします。


第1号 2011年2月22日発行

別姓訴訟開始にあたって
(原告団のご紹介/弁護団のご紹介)
記者会見&国会報告会
(原告から/弁護団から/会場から/出席された国会議員)
別姓訴訟への応援メッセージ
(日本弁護士連合会会長 宇都宮健児さん/
I女性会議共同代表 清水澄子さん/
実践女子大学教授 鹿嶋敬さん/元衆議院議長 土井たか子さん/
和光大学教授 井上輝子さん)

【記者会見&国会報告会】
 民法の夫婦同姓規定は、個人の尊厳を定めた憲法13条や、両性の平等 を定めた24条、女性に対する差別法規の改廃義務を定めた女性差別撤廃 条約などに違反するとして、富山県の塚本協子さん、東京都の加山恵美さ ん・渡辺二夫さん、小国香織さん、京都府の吉井美奈子さんの5人が、国 などを相手に計600万円の慰謝料や、別姓で提出した婚姻届の不受理処 分の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしました。
 夫婦同姓規定を違憲として国家賠償を求める訴訟はこれが初めてです。
 塚本さん、小国さん、吉井さんは法律婚で旧姓を通称使用し、戸籍姓と 自己の違和感や、不便不利益を被っていること、事実婚をしている加山さ んと渡辺さん夫婦は、法律婚していれば得られる利益を受けられない損害 が生じていることを慰謝料請求の理由としています。さらに、夫婦は今年 1月、夫婦別姓の婚姻届を荒川区に提出しようとして不受理になった精神 的損害を慰謝料請求しています。
 訴状を提出後、衆議院第一議員会館で別姓訴訟を支える会主催の報告会 が行われ、原告4人弁護士9人が提訴への思いや訴状の解説などを行いま した。