つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【社会】芝「大門」持ち主不明 老朽化、耐震性 修復できず2012年3月3日 14時05分
徳川家の菩提(ぼだい)寺として知られる増上寺(東京都港区芝公園)のかつての総門「大門」を管理する所有者がはっきりせず、老朽化したものの修復できないという問題が起きている。長年地域のシンボルとして親しまれてきたが、東日本大震災を機に耐震面でも不安が浮上。地元団体が東京都に対策を求めている。 (岡村淳司) 大門は一六〇五(慶長十)年に徳川家康が増上寺を大改修した際、江戸城の大手門を移築して設けられた。一八七八年に同寺が東京府に寄付し、その後、芝公園の一部として東京市(現・東京都)が管理。一九四〇年ごろ、芝公園の敷地が縮小され、同市の管理から外れたとみられている。 当初は木造だったが、関東大震災(一九二三年)で損傷したため、三七年に鉄筋コンクリート造りに建て替えられた。このときは東京市が設計を担当し、工費二万円については、地元から寄付されたという話もある。 現在は瓦ぶきの大きな門が、増上寺の敷地から東に約二百メートル離れた区道に立つ。都営地下鉄浅草線と大江戸線の駅名になるほど親しまれているが、文化財にも指定されず責任の所在がはっきりしない。 都建設局の担当者は「どこかに移管したという記録は見つかっていないが、地元の人たちが守ってきた経緯もある」と歯切れが悪い。これまで便宜的に管理してきた増上寺は「ほかに引き受け手がいない。今後について都と協議中だ」と説明する。 近年は朱色の塗装がはげるなど老朽化が目立ち、地域のイメージダウンが指摘されていた。さらに東日本大震災以降は倒壊などの不安も浮上。地元で抜本的な対策を求める声が高まっている。 地元企業でつくる大門振興会は、都に増上寺や港区への払い下げなどを期待している。管理者をはっきりさせた上で、文化財指定にもつなげたいという。佐久間克文会長(47)は「今のままでは何かあったときに誰が責任を取るのか分からない。次代に残すため、きっちりした形にしたい」と話す。 (東京新聞) PR情報
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