5月のプーチン大統領誕生で北方領土問題は動くか。キーマンは「日本通」ロシア首相府官房長官だ

2012年03月03日(土) 歳川 隆雄
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 次に3だが、これはプーチン氏の対日政策を含むアジア太平洋地域志向についてである。同氏は08年8月~11年12月までに極東・東シベリア地域の26ヵ所を視察している。本年9月には極東最大の都市ウラジオストックでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催される。06年7月にサンクトペテルブルグでG8サミットが開かれた時と同じく、プーチン氏が大統領としてホスト役を務める。

 ロシア・ウォッチャーの現在の関心事は、昨年末に首相府官房長官に抜擢されたアントン・バイノ氏が、プーチン氏の5月7日のクレムリン(大統領府)入りと同時に大統領府副長官、大統領補佐官(外交担当)など、どのポストに就くのかにある。というのも、プーチン氏が傾注する東シベリアやサハリンのガス田・油田開発などで日本の経済協力を期待するロシアが日本の北方領土返還交渉でそれなりの"譲歩"を見せるのかどうかが注目されているからだ。

 因みに、外務省時代に日本勤務経験があるバイノ氏は流暢な日本語を話すだけでなく、「2島(歯舞・色丹)先行返還論」に理解を示しているという。プーチン次期大統領の外交ベクトルが日本に向けられているのかどうかは、5月のシカゴG8サミットをはさんで行われる野田佳彦首相との日露首脳会談で判明する。 

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