今週木曜日、ネット最大手のグーグルが、新プライバシー規定を実施した。同問題については以前、このコラムでも紹介したが、同変更では、フランス政府が「EUデータ保護法に抵触する恐れ」を警告し、米国政府は「消費者保護の観点から調査」を続けている。日本でも総務省と経産省が「遵法を求める通知」をグーグルに送るなど、公的機関が警戒感を強めている。
1ヵ月以上の事前通知と関係機関への調整を続けてきたグーグルだが、それでも批判の声は消えていない。興味深いのは、ワシントンが警戒心を露わにする一方、ここシリコンバレーにはグーグルに対して寛容的な雰囲気が漂っていることだ。
なぜ、これほどの逆風を受けながら、新プライバシー・ポリシーを強行するのだろうか。なぜ、シリコンバレーはグーグルの動きに寛容なのだろうか。この謎を追ってみたい。
新ポリシーの狙いは、皆さんへのサービスを向上させること
今週、シリコンバレーのサンタクララ・コンベンション・センターでは、ビック・データをテーマにしたストラタ展示会が開催されていた。たまたま3月1日、プライバシーに関するセッションがあり、グーグルの担当者が登壇した。
「本当はもっと別の話をしたかったけど。たまたま今日に重なったから、説明しないわけにはゆかないわよね」グーグルのパブリック・ポリシー・マネージャーを務めるベッツィー・マッシェロさんは、そんな前置きをして新ポリシーについて解説を始めた。以下、彼女の説明をかいつまんでまとめて見よう。
世界中でネットサービスを提供しているグーグルは、検索サービスを筆頭に電子メールやカレンダーなど60件を超えるサービスを提供している。従来、サービスそれぞれにプライバシー・ポリシーが定められていた。新規定では、こうした多彩なサービスに対するプライバシー・ポリシーを一本化する。
プライバシー・ポリシーが違えば、同じユーザーが入力した情報も別々にあつかうことになる。「ポリシーを統一すれば、ユーザーの情報を統合し、サービス使いやすくできる」とマッシェロ・マネージャーは、その目的を説明した。
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