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現実的な倫理的判断が求められる状況とは、たとえば10ドル札を支払った後に、おつりとして20ドル札をもらった場合などを指す。この実験では、SESの低い被験者のほうが正直に反応する傾向がみられたという。
さらに別の実験では、潜在意識下の動態が調査された。この実験では、被験者はまず自分たちがお金持ちまたは貧乏であることをイメージするよう指示され、その上で、別の研究室にある(子供に配られる予定の)キャンディーが入った瓶から、キャンディーを取る機会を与えられた。そして実際に実験をしてみると、お金持ちであるとイメージした学生のほうが、貧乏とイメージした学生よりもたくさんのキャンディーを取ったという。
このほか、AmazonのMechanical Turkで募集した108人の成人をつかって、企業の採用担当者の役を演じてもらうという実験も行われた。彼らが相手をするように指示された求職活動者は、安定した仕事(2年間の長期契約)が得られるなら今より少ない給与でも構わないという設定だった。しかし、実際にはこの仕事の契約期間は6ヶ月しかなく、かつ、安く給与交渉した採用担当者にはボーナスが支払われるという条件が出されていた。
この実験の結果、実世界での収入が多い人ほど、そしてアンケートで貪欲さ(greed)について肯定的に答えた人ほど、応募者に対して嘘をつく傾向が強いことがわかったという。
「社会的・経済的地位が高い人は、そうでない人よりも不正直な傾向が強く、そしてこれは貪欲さに対してより肯定的に捉える態度から生まれたものだ。われわれは、競争心、自分の利害、自分の安寧を優先する意識などが、この傾向を支えていると考えている」(Piff氏)
TEXT BY Brandom Keim
TRANSLATION BY 中村航
WIRED NEWS 原文(English)
※この翻訳は抄訳です
2012年3月1日
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