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2012年2月13日10時22分

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先生、柔道にピリピリ 安全模索・独自副読本も

写真:柔道の講習を受ける教員ら=昨年11月、県教育委員会提供拡大柔道の講習を受ける教員ら=昨年11月、県教育委員会提供

 今春から中学校で始まる武道の必修化。鳥取県教委によると、県内の中学校の7割以上が柔道を選択する。しかし、柔道の授業には安全性の面から不安の声も多い。県教委は、保健体育の教員向けに講習会を開くなど、準備に追われている。

 これまで、武道はダンスを含めた選択科目だったが、必修化により、中学1、2年生は男女ともに、柔道、剣道、相撲、空手、なぎなた、合気道などから選択することになる。

 文部科学省によると、空手発祥の地の沖縄は空手、剣道が盛んな佐賀は剣道を選択する学校が多いなど、多少の地域性は出るが、全国的には防具類が不要な柔道を選ぶ学校が多いという。

 鳥取県教委によると、県内の中学校60校のうち、男子は相撲、女子は剣道を選択した学校が1校、男女とも剣道が13校。これに対し、男女とも柔道を選んだ学校は46校と最も多かった。

 しかし、柔道の授業に関しては安全面での懸念の声も強い。名古屋大の内田良・准教授(教育社会学)によると、柔道事故で死亡した中・高生は1983年度から2010年度の28年間に全国で114人(中学39人、高校75人)。うち、14人が授業中に死亡した。

 中高ともに1年生が半数以上を占め、死亡原因の大半は頭部外傷だという。内田准教授は「受け身など技術の習得が不十分なまま、投げ練習に参加した時に事故が起きる。そのあたりの意識が必要」と指摘する。

 保健体育の教員は大学で一通り、武道を習うが、実際に教えた経験がない教員もいる。県教委スポーツ健康教育課の吉田朋幸副主幹(50)は「現場も安全性の確保にかなり慎重になっている」。

 県教委は2009年から、県柔道連盟や県剣道連盟から指導者の派遣を受け、保健体育の全教員に講習を実施した。今春には、全日本柔道連盟(東京)が出している教本を各学校に配布する。また、保健体育の教員らが集まり、生徒に教えるための県独自の副読本も作成中だ。要望のある学校には授業にも専門家を派遣し、教員をサポートすることも検討しているという。

 学習指導要領には、固め技や投げ技の習得を目指すことが掲げられているが、県内の保健体育の女性教諭は「技術の習得ありきでなく、一人一人の生徒の体力や技術といった実態を見ながら、教えていく必要がある」。別の男性教諭も「むやみに恐怖心をあおることはないが、武道の良い面と合わせて、危険性もしっかり伝えないといけない」と現場も教え方を模索する。

 海外では柔道など日本の武道への関心も高い。県教委の吉田副主幹は「グローバル化時代に、日本の伝統武道を知っておくことは意味がある。生徒には武道を通して、礼法や相手への思いやりも伝えたい」と話している。(才本淳子)

 <武道の必修化> 2006年改正の教育基本法で、教育目標に「我が国と郷土を愛する」ことをうたったことを受け、文部科学省が学習指導要領を改訂。「伝統文化の尊重」という言葉が入り、中学校での武道の必修化が盛り込まれた。音楽では伝統楽器を、家庭科では郷土料理も教える。

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