できるだけごまかさないで考えてみる

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

10.3.1  TVタックルでの外国人参政権特集(その2)

2010-03-24 21:24:48 | Weblog

その1からずいぶんと日が空いてしまって、待っていた方には申しわけない。その1はこちら。発言者や、書き起こし文の参照先など、基本情報も記事その1を参照のこと。
また、その1で貼っていたyoutubeのリンクは切れてしまったようなので、ご覧になりたい方はこちらを。ただ、こちらもまたすぐにリンク切れになるかも知れないということは知っていてほしい。


まずは、その1で採りあげた発言と時間がかぶるが、金のこの発言から。

阿川佐和子
「同じ民主党でも二手(小川は賛成、長島は反対)に分かれている」

金慶珠
「地方の市長選挙、議員選挙、もうひとつは住民投票、たとえば市町村合併みたいな、それに対する投票権を与えると」

高市早苗
「他にも、教育委員を解職請求する権利とか、ご自身が公的な地位につく権利、そういったものも出てくる」

長島昭久
「金さんに質問したい。私は慎重派だが、さっき説明があったように、地方の選挙権だけだからいいじゃないかっていう議論なんですね。何で被選挙権与えないんですか、なぜ国政はだめなんですか。どうしてそこに線が引けるのか。非常に偽善的な議論だと思う。最初は選挙権から始まって、私、民団の人と話したら、いや、いずれは国政をお願いしたいと言ってた。それが人権を獲得してきた人類の歴史からいったら自然でしょ。だから国籍を獲得しているかしていないかで線を引かざるを得ないんですよ」

金慶珠
まず、たとえば今、被選挙権を与えたら、それこそなし崩し的にそのうち国政まで要求してくるに決まってるという議論自体は全く危惧

長島昭久
「民団の人がそう言っている」

金慶珠
民団の人が何をどれだけ代弁してるっていうんですか


金が

>今、被選挙権を与えたら、それこそなし崩し的にそのうち国政まで要求してくるに決まってるという議論自体は全く危惧

などと、在日朝鮮人の希望や主張の範囲を明確に規定できる根拠が全くわからない。それこそ、金自身と同じ理屈で、

金が在日朝鮮人の何をどれだけ代弁しているっていうんですか?


と聞きたくなるのだが。


その1でも指摘したことだが、この金という人は東京大学で博士号まで取った、立派な学者様である。その学者様が、日本国内で保障されている言論の自由、思想の自由を知らないはずはあるまい(しかも言論や思想の自由は、国籍に関係なく、日本に在住していれば全ての人に適用される種類の自由である)。在日朝鮮人だろうが在日アメリカ人だろうが、地方参政権を取得した後に、国政選挙での選挙権を求めて運動する権利は普通にあるのである。国政レベルの選挙権を要求・運動する権利があるのであれば、当然のごとく、国政レベルの選挙権を要求・運動するであろうと推測する方がよほど自然であろうに。こんなに立派な学者様が、こんな簡単なポイントにも気づかずに、張り切って

>在日朝鮮人がそこまで要求すると思っているのは全く危惧!

と断言できるのはなぜ?この発言は、金自身が在日朝鮮人の要求を全て把握しているという絶対の自信なしには、まったくできない発言なのだがね。


金がまともな学者様であれば、

「在日朝鮮人が国政レベルの選挙権まで要求するかどうかはわからない。私は在日朝鮮人全員の希望を全て把握しているわけではないから。」

としか言えないはずであろうに。この発言こそが、まともな学者様のまともな発言に他ならないであろうに。しかし、なぜかこの発言ができなかった。それは一体なぜだろう。


それは、「在日朝鮮人が、地方参政権まで求めたら、参政権要求を収め、国政参政権までは要求してこない」と、リテラシーの低い国民が漠然と抱いている空気的前提を長島が壊そうとしたため、それを守ろうとしたからだろうとしか想像できない。

でなければ、まともな論理的な議論ができないという意味で、このヒトは学者失格と言わざるを得ない。


私なりに長島発言を補足しておくと、民団の主張とは全く関係なく、在日朝鮮人が地方参政権までしか求めてこないという発想は、何の根拠もない、「空気的前提」に過ぎない。その意味で、「地方までならあげてもいいんじゃない?」などというネットでの発言は、そういう空気的前提に基づいた頭の悪い発言か、そうでなければ、最終的には国政選挙権までをも得ようとしている在日朝鮮・中国・その他外国人が無邪気なフリをして書き込んでいる、戦略的な発言以外の何物でもないのだ。


憲法第15条、ここに、選挙権は国民固有の権利と規定されている。

その解釈をめぐり、外国人参政権の議論に火を着けることとなったのが、1995年の最高裁判決。

(中略)

1990年、大阪で在日韓国人たちから、地方選挙に限り、永住権を持つ外国人に選挙権を付与しないのは、憲法違反との訴訟が起きた。

しかし1995年に最高裁は、「参政権は国民主権に由来するもので、憲法上、日本国籍を有する国民に限られる」とこれを棄却。ところが……。

(中略、VTR)

と、判決理由には影響しないあくまで傍論の、「法律をもって地方参政権を付与することは、憲法上では禁止するものではない」を受け、立法に問題があると解釈した。

以降、1998年から現在まで、ほぼ毎国会に議員立法で、外国人参政権法案が提出されてきた。

   公明党 29回
   民主党 15回
   共産党 11回
   保守党 10回
   自由党 1回

そして、現在でもこの裁判の“傍論”が推進の論拠となっている。

(中略)

阿川佐和子
「どう素人が読んでも、主文と傍論は相反する内容に思うんですが」

(中略)

小川敏夫
「憲法の構成そのものは、参政権を国民が本来的に持っていると。しかし、それは国民から参政権を奪うことはできないということであって、許される範囲で立法の裁量によって国民ではない者に与えることも許されると

高市早苗
「でもその時の主文はそうじゃないですよ。外国人にはその権利は及ばないということを書いてある」

小川敏夫
認める法律がないからそうなっただけで、認める法律があればいい

高市早苗
「主文ていうのは、判決の結果を導くための法的な理由です。だから判例としての効力がありますけれども、傍論は裁判官の意見が色々出た、その意見の中で判決の結論にはない部分」

阿川佐和子
「でも大事だから残したんでしょ?」

穀田恵二
傍論と言うけれども、妨げない、国家が立法の中で処理しなさいと言ったんですよ

三宅久之
「傍論は判決とは全く関係ない」

張景子
「憲法でどう書かれているかをまず確認をしなければ……」

金慶珠
憲法論的にどうかというのは置いといて、……立法問題としてみんなこれを進めてきたじゃないですか」


民主党参議院議員で、なんと今年改選の小川敏夫も、これで元弁護士である。この元弁護士は、95年の最高裁判決を読んでいないらしい。

1995年 最高裁判決 主文理由より

>公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民
のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/89B4E23F93062A6349256A8500311E1D.pdf
7〜8行目参照のこと。


小川の発言である、

>憲法の構成そのものは、参政権を国民が本来的に持っていると。

の部分は、参政権は日本国民のみが持っているという最高裁自身による文章のうち、「のみ」の部分を勝手に削って持論を展開しているわけだ。

しかも、あたかも「私のこのまとめ方が、主文理由(本論、主論)と傍論をうまく折衷させたものですよ」的な言い方でだ。


・・・「本論と傍論が矛盾していれば、うまく折衷させるべきだ」などという判例解釈は、いったいどういう根拠があれば正当化されるのかね?(笑)存在する根拠はただ一つ。

訴訟は主文をもとめて起こされたものであるから、主文とその理由が最優先され、それと矛盾する部分は一切無効。

これだけだろ?


この元弁護士議員様は、そんなこともわからないのか、これまたわからないフリをして視聴者をケムに巻こうとしているわけだ。このレベルの低さ、金も真っ青である(笑)。

しかも、高市がそれに反論しても、

>認める法律がないからそうなっただけで、認める法律があればいい

と食い下がるこの時間稼ぎぶり。案の定、阿川が茶化し、穀田が横槍を入れ、三宅がさらに食い下がるも、張が話をずらすという展開。しかも金が「憲法論は置いておいて」って・・・参政権はきわめて憲法論的な問題だろ?そんなこともわからんのかこの自称学者は(笑)。


このような、ややグダグダな展開になったことを振り返ると、反対派も、「判決理由(本論)に、選挙権は日本国民のみって書いてあるだろ。傍論と思いっきり矛盾してるぞ」とハッキリ言うべき。山際みたいに大声で絶叫せずに、聞こえる声でハッキリ言えばそれでいい。それで賛成派がどう反論するかを引き出すべきだった。これが反対派の残念な点。



ちなみに、あの保守党でさえ、10回も外国人参政権付与法案を提出してきたとは・・・認識が甘かった。さすが二階敏博と言うべきか。


穀田恵二
「憲法論で言うなら、それは法律にないことについては憲法違反だと、そういう意味を少なくとも1995年の判決は言ってる。だから傍論でそれを言ったのは大事なこと。それが解釈なんですよ」


穀田がここで意味不明な主張で場をかき回している。あたかも、外国人参政権について規定がない事自体が憲法違反であると取りかねないことを述べている。上のPDFを読んでもらえればわかるが、本論だけでなく、傍論にもそんなことはどこにも書かれていない。


旗色が悪くなるとウソも曲解も平気、とにかく怒り顔で何かを言って「大事なこと!」的な語尾で締める(笑)。日本共産党の憲法観と議論のやり方って、このレベルどまりなの???(苦笑)。どの面下げて「日本共産党は憲法を守ります!」などと叫んでるの??



そして、この後、張による極めつけの発言が出てくるが、ここまでで「その2」とする。

その3はこちら

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政治
キーワード
在日朝鮮人 外国人参政権 地方参政権 阿川佐和子 思想の自由 リテラシー 在日韓国人 参議院議員 言論の自由 リンク切れ 市町村合併 在日アメリカ人
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