東京電力福島第一原発の事故で国や自治体などが緊急対応にあたる最前線の拠点でありながら機能しなかった「オフサイトセンター」の内部が、2日、事故後初めて報道関係者に公開されました。
福島第一原発からおよそ5キロの大熊町にある「オフサイトセンター」は、原発事故の際には、国や県、市町村、それに電力会社などの担当者が集まって情報収集や住民の避難誘導に当たる最前線の拠点になるはずでした。
しかし、地震と津波で関係者が速やかに集まれなかったうえ、専用の通信回線も途絶えたままだったため、事故発生から5日目におよそ60キロ離れた福島県庁に機能を移さざるをえませんでした。
この施設の内部が2日、事故後初めて報道関係者に公開されました。
センターの2階の全体会議室には、住民の避難や放射線の測定など、役割ごとに机が並べられ、ホワイトボードには事故対応の状況が当時のまま書き残されていました。
中央には関係機関が対応を協議するスペースがあり、大型のスクリーンには、原子炉のリアルタイムの状態や放射性物質の拡散を予測した情報が映し出されるはずでしたが、全く機能しませんでした。
ボタンを押すだけで、自治体の担当者の携帯電話に自動的に連絡が入る「一斉招集連絡システム」も停電で作動しなかったということです。
建物は鉄筋コンクリート造りですが、放射性物質が入ってくるのを防ぐ空気の浄化装置はなかったため、屋内でも1時間当たりの放射線量がおよそ200マイクロシーベルトまで上昇し、とどまることができなくなりました。
こうした教訓を踏まえ、国の原子力防災の指針を見直している原子力安全委員会の作業部会は、センターの機能を原発から十分に離れたところに設ける中枢を担う拠点と、より現場に近い避難誘導などの活動拠点の2か所に分けるなどとする見直し案を示していて、近く最終的な提言をまとめることにしています。
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