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裁判員裁判の無罪判決を差し戻し

3月2日 21時26分

裁判員裁判で無罪が言い渡された覚醒剤の密輸事件で、2審の大阪高等裁判所は、「被告の関与が強く推認され、1審の判断は誤りだ」として、無罪判決を取り消し、審理を大阪地裁に差し戻す判決を言い渡しました。

この事件は、イラン国籍のアブディ・スマイル被告(43)が、3年前、日本人の男に指示して、覚醒剤4キロを関西空港に密輸しようとしたとして、覚醒剤取締法違反などの罪に問われたものです。
1審の裁判員裁判は、「日本人の男は、暴力団に捜査が及ぶのを恐れ、被告から指示を受けたとうそを言った疑いがあり、指示したのは別人の可能性がある」として、無罪を言い渡し、検察が控訴していました。
2日の判決で、大阪高等裁判所の松本芳希裁判長は、「別人が事件を指示したという証拠はなく、日本人の男が外国で覚醒剤を受け取った前後に、被告が海外に頻繁に電話をかけていることから、被告の関与が強く推認される。日本人の男の供述も信用でき、1審の判断は誤りだ」として、無罪判決を取り消し、審理を大阪地裁に差し戻しました。
審理が差し戻された場合、別の裁判員が裁判官とともに改めて審理することになります。
被告の弁護士は「このような判決では、裁判員が高裁の判断に沿わなければならないと思ってしまう」と話し、上告する方針を明らかにしました。